2011-01-01から1年間の記事一覧

研究の軌跡

●昨日は、川越の笠間先生をお訪ねして、お元気な様子を拝見し、これまでの長い研究生活の経過について、長時間、お話をお伺いすることが出来た。笠間先生は、法政大学の大学院で、重友毅博士の指導の下に、芭蕉・蕪村等を研究され、現在は91歳になられる。…

百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』と『はてなキーワード(hatena keyword)』

●ウェブ上の百科事典として、『ウィキペディア(Wikipedia)』が早くから普及していた。続いて、『はてなダアリー』の『はてなキーワード(hatena keyword)』が立ち上がった。私は『ウィキ』は、様式が余り気に入らないので、『はてな』を利用したいと、せ…

司 修 氏  第38回 大佛次郎賞 受賞

●司修氏の『本の魔法』(2011年6月15日、白水社発行)が、第38回大佛次郎賞を受賞した。司修氏は、1936年生まれの、装幀家・画家・作家である。大佛次郎賞は優れた散文作品に贈られる。私は、もう何十年も前に、ある大学の教授の評論集を、この…

久し振りの会話

●昨日は、池袋へ出て、久し振りにイギリスの若い日本文学研究者とお会いした。彼は熱心な研究者であり、現在は、日本の書籍目録の記載内容・様式を通して、主として日本近世文学のジャンル別の流れを明らかにする事に取り組んでいるという。オリジナルの資料…

『望月翠山 作品集』 発行

●甲骨文の書家、望月翠山先生が、「望月翠山個展」連続25回開催を記念して、『望月翠山 作品集』を刊行した(2011年9月16日発行)。先生は山梨師範学校時代から書の道に入ったが、49歳の時、漢字研究の大家・白川静氏の『甲骨文の世界』に出合っ…

京都大学 2012 文系 入試

●教学社の赤本『京都大学 文系 2012』が書店にあった。平成23年・2011年の京都大学・文系の入試は、第1問 長田弘『失われた時代』、第2問 安田登「神話する身体」、第3問 井関隆子『井関隆子日記』であった。解答編は、〔出典〕〔解答〕〔通釈…

上野の森の第九

●今日は、上野の東京文化会館、大ホールで、東京労音合唱団の第九演奏会を聴いた。友人の松本君の誘いで、昨年に続いて2回目である。今年は、妻と息子も一緒に楽しんだ。上野精養軒で、見事な景色を眺めながら美味しい昼食。管弦楽は日本フィル、指揮はケン…

藤岡忠美先生の『王朝文学の基層』

●藤岡忠美先生の『王朝文学の基層―かな書き土器の読解から随想ノートまで―』(2011年12月20日、和泉書院発行、定価2500円+税)が発行された。本書は、サブタイトルにあるように、伊勢の斎宮跡から出土した土器に書かれた和歌などの解読に取り組…

『大輪靖宏句集』刊行

●大輪靖宏先生の、第3句集が刊行された(平成23年12月1日、俳句ネット発行。定価2500円、税込み)。第1句集『書斎の四次元ポケット』が出版された時、私は、大変驚いた。大輪先生と言えば、上田秋成の研究者であり、名著『上田秋成文学の研究』の…

牛乳

●菊池先生のエッセーに牛乳に関してのコメントがあった。「私は牛乳が飲めない。飲むとおなかをこわす。牛乳の中の脂肪粒を消化できないようだ。小学校の給食は脱脂粉乳だった。これはありがたかった。大学生の時は、森永加糖練乳ミルク缶を見つけ、これをお…

斎藤金型 山形エクセレントデザイン賞 受賞

●山形エクセレントデザイン2011の受賞者が発表され、山形新聞に報じられた。大賞に輝いた阿部産業の「HAKAMA JITATEシリーズ」であった。エクセレントデザインは、山形県や商工団体などで構成する山形デザインコンペティション実行委員会が…

ストリートビュー 被災地を記録

●13日、グーグルは、東日本大震災の被災地の町並みを記録した画像をネット上に公開した。青森県から茨城県までの、6県82市町村を半年かけて撮影した画像であるという。これを、地図サイトの「グーグルマップ」に反映させ、パソコンなどで、無料で閲覧で…

徳川12代将軍家慶正室・浄観院の没日と葬儀

●徳川12代将軍家慶正室、有栖川宮・喬子は、没して浄観院という。『徳川実紀』などでは、天保11年(1840)1月25日没、とされている。しかし、井関隆子は同年1月15日の条に、次のように記している。「この頃、密かに聞くに、いとゆゆしきことあ…

画期的な出版 『東叡山寛永寺 徳川将軍家 御裏方霊廟』

●昨日、吉川弘文館から、出版案内が送られてきた。この出版社は、日本歴史関連では、有益な出版物が多く、学生時代から活用していた。毎年の手帳も、大学卒業以来、ここの『歴史手帳』を愛用している。●さて、今回の出版案内で、目を見開いて拝見し、感動し…

追悼の文

●人が他界すると、追悼集などが出され、それぞれの立場から、追悼の文を書く。私もこれまで、何人かの先学に対して追悼の気持ちを表した文章を捧げてきた。今、整理してみると、かなりの人数になる。① 石澤豊先生 昭和54年5月12日 『石澤豊追悼』(石澤…

月と自転車

●昨夜は、皆既月食。テレビでも新聞でも報じられたので、夜の11時頃、外へ出てみたら、近所のお子さん達が、お父さんやお母さんと空を見上げて、自然の現象に声をあげていた。皆既日食ほどではないが、まずまずの天体ショーだった。デジタル朝日には、スカ…

気になる写本 浜松中納言物語

●古書目録の、2点が気になった。 ■中野書店の『古本倶楽部』246号、2011年12月 ◎東海道分間絵図 遠近道印作、菱川師宣画、特製筆彩色入、板木屋七郎兵衛板、元禄3年刊、5帖揃、全体にかなり墨付、書入れ多し。 126万円。■『思文閣古書資料目…

テキストを彫刻する人・横山重

●このところ、寝ても覚めても、横山重先生のことを思っている。横山先生には、昭和42年頃、前田金五郎先生に紹介して頂き、初めてお会いした。それから、先生が御他界なさるまで、様々な御指導を賜った。いつか、日にちは忘れたけれど、朝日新聞に、百目鬼…

MRI

●さいとう内科クリニックへ行って、定期的な血液検査をしてもらった。結果は、まずまずであった。■総蛋白7.2、肝臓機能AST34、▲ALT52、rGT37、▲CPK261、脂質代謝、中性脂肪80、HDL52、LDL102、尿酸6.3、尿素窒素16…

斎藤金型 新製品開発

●長井市の斎藤金型製作所㈱が開発した「開口訓練器」が、山形県庁のロビーに展示された。山形大学医学部・斎藤金型製作所・山形県産業技術振興機構・山形県工業技術センターが連携して開発したものという。「開口訓練器」とは、怪我や手術などの後遺症として…

たそがれ

●「たそがれ 黄昏 夕やみ 〔人生の盛期を大分過ぎた意にも用いられる〕」(新明解国語辞典・3版) 私は、少し前に「江戸のたそがれ」という書名の新書を出したが、これは幕末の衰退した世相をとらえたものだった。今日、落ち葉を掃いていて、我が家を見渡し…

自費出版の勧め

●朝日新聞の「55プラス」で自費出版を採り上げ、今日で4回目になる。作家の中山千夏氏は、2004年に、NPO法人〈日本自費出版ネットワーク〉を創立されて、代表理事を務めておられるとのこと。商業出版になじまない優れた研究や詩歌はたくさん残って…

年間 5000人

●今日は、研究会に行き、田中氏の『紫式部日記』鑑賞・その3 を拝聴した。実に有益な発表であった。平安朝の文学作品は、『源氏物語』をはじめ、研究の深化も著しく、様々な解釈が出ている。作者の紫式部も、喜んだり、驚いたりしているものと思う。田中氏…

『百味』の編集長 中村雄■氏

●今日、斎藤内科へ行き、血液検査をしてもらい、隣の珈琲樹屋へ寄って、美味しい珈琲とモーニングを頂いた。お馴染みの皆さんと雑談・歓談中、月刊『百味』2011年12月号を頂いた。例によって、見事な表紙の写真は、高本裕久氏の撮影で、提供はみのきち…

墓碑銘は研究書

●今日は、久し振りに、陶玄亭散人にお会いして、池袋の美濃吉で美味しい食事をしながら、しばし、清談。私は、陶玄亭散人、安藤武彦氏の研究の軌跡を追ってみて、このように、うまく、研究人生を纏められた研究者は少ないと思う。●研究テーマを近世初期の俳…

『近世初期文芸』第28号 責了

●本日、『近世初期文芸』第28号 が責了になった。この号の内容は、次の通りである。発行は12月末日。『近世初期文芸』第28号 目次 ○想本寺高政の自筆『釈教之誹諧』註釈考 ……… 安藤 武彦 1 ――わが文芸的半生をふり返りつゝ―― ○『嶋原記』挿絵考 ――挿…

J−TEXTS と 平家物語協会

●J−TEXTS (日本文学電子図書館)は、2000年5月13日、菊池真一氏によって開設された。スタート時点では、私もデータ提供を考えていた。私は、近世の仮名草子作品を中心にテキスト作成を計画していた。しかし、その後の計画に変更があり、多くの…

今や 新規な仕事はない。

●私は、今、横山重先生の思い出を随想風に執筆中である。先生の犬山時代から伊東時代まで、実に多くの事を教えて頂いた。昭和44年(1969)1月14日、犬山市本町65からの封書には、次のように書いて下さった。「今や 新規な仕事はない。誰が誠実な…

グーテンベルク『42行聖書』の伝来

●上原作和氏の追跡によって明らかにされた、大島本『源氏物語』は、明治23年の秋、佐渡に渡り、昭和8年頃に佐渡から東京に帰ったという。この時、所蔵者の田中家は、この『源氏物語』を1万円で購入して欲しいと言ったという。大変な高額である。●145…

『源氏物語』 というテキストの伝来

●上原作和氏の労作『光源氏物語傳來史』(2011年11月19日、武蔵野書院発行)が刊行された。私は平安朝文学は専攻外の分野でもあり、そんなによく解ってはいない。しかし、『源氏物語』は、日本文学を代表する作品であり、これに匹敵する長編小説は、…