気になる写本 浜松中納言物語

●古書目録の、2点が気になった。
■中野書店の『古本倶楽部』246号、2011年12月
東海道分間絵図
遠近道印作、菱川師宣画、特製筆彩色入、板木屋七郎兵衛板、元禄3年刊、5帖揃、全体にかなり墨付、書入れ多し。 126万円。

■『思文閣古書資料目録』225号、平成23年12月
◎浜松中納言殿物語 4冊
菅原孝標女、江戸後期写、安永10年本居宣長奥書伝写、朱・青書入あり。和大、箱入、一部小虫入。157万5千円。

東海道分間絵図 は、遠近道印と菱川師宣のコンビで作成された、東海道の道路地図で、大学の鍋島先生の美術史の時間に原物を見せてもらい、その実用性の見事な表示に感心し、芸林舎の神田さんが複製した時にも関わり、さらに、『江戸雀』の初印本を出したときにも、横山先生の初印本を拝借し、絶妙な筆使いに感動した。

思文閣の浜松中納言物語の写真を見て、オヤっ と思った。この写本は江戸後期のものらしい。

「浜松ノ中納言の物語てふ文、ある人の貸しけるを一とせ写し置たり。此文を見けるに、はじめをはりは失て、中らのみ残りたる物語と見えて、ゆくりなく書いで、はた先にゆづりたる事所々に見え、あるは打あはぬこと共まじりて全からず。さるが上に、いとあまた所詞かけたるは、はやく虫ばみ、ちりぼひたるなめり。」

●これは井関隆子の日記である。彼女は、その欠落と思われる部分を自ら補筆して、これを、徳川家斉正室・広大院に献上している。こんな経緯があって、私は、オヤっ と思った。あるいは、隆子の書写によるもの ???

東海道分間絵図

横山重先生、赤木文庫本


■浜松中納言殿物語