画期的な出版 『東叡山寛永寺 徳川将軍家 御裏方霊廟』

●昨日、吉川弘文館から、出版案内が送られてきた。この出版社は、日本歴史関連では、有益な出版物が多く、学生時代から活用していた。毎年の手帳も、大学卒業以来、ここの『歴史手帳』を愛用している。

●さて、今回の出版案内で、目を見開いて拝見し、感動したのは、寛永寺谷中徳川家近世墓所調査団編の『東叡山寛永寺 徳川将軍家 御裏方霊廟』(全3巻、限定出版、定価157500円)である。調査団の顧問=徳川恒孝・神田秀順大僧正、調査団長=安藤孝一、名誉団長=坂詰秀一、委員=浦井正明・竹内誠、統括調査員=今野春樹、の方々の調査・研究による公式報告書である。

●発掘調査1年5ヶ月、調査・研究3年3ヶ月を要した研究成果である。上野寛永寺徳川将軍家御裏方霊廟の改葬に伴って、将軍の正室・側室ほか24人に及ぶ墓所の発掘調査が行われた。その結果、副葬品・墓所の構造・使用石材・葬送の状況など、極めて貴重な史料が明らかとなり、それらが、この報告書によって公開されるわけである。

●発掘された24人の墓所の中には、4代家綱正室高巌院、9代家重正室・證明院、10代家治正室・心観院、12代家慶正室・浄観院、13代家定正室・澄心院などの墓所が含まれている。私としては、第12代家慶正室・浄観院の墓所の状況に関して、最も興味がある。

■『東叡山寛永寺 徳川将軍家 御裏方霊廟』