有り難い情報

●私は、仮名草子の『可笑記』の研究に取り組み、その原本の調査も、大学時代から始めて、現在も続けている。締め括りは何度もしたが、未だに完結はしていない。生きている間にまとまるか、見通しはつかない。
●昭和56年(1981)に、ケンブリッジ大学図書館・アストンコレクションに『可笑記』の寛永19年版11行本が所蔵されていることを島本昌一先生から教えて頂いた。先生は、1年間イギリスに研修調査で行かれた。初期俳諧の調査の合間に、仮名草子に関しても目配りをして下さったのである。ただ、1つの作品に、多くの時間はかけられない。先生から頂いた書誌情報は限定的であった。
●昨日、ケンブリッジ大学のラウラ・モレッティ先生から、貴重な情報を頂いた。この『可笑記』について、もう少し詳しい情報が欲しい、という、私の依頼に対するものである。ラウラ先生は、仮名草子を中心にして日本文学を研究されていて、日本に留学中は、私も何度もお会いしている。学問に対して、まことに誠実、尽きることのない情熱の持ち主、私が尊敬している研究者の一人である。そのようなラウラ先生からの情報ゆえ信頼はできる。私は、この本の実体に関して、さらに1歩を近づけることが出来た。有り難いことである。
ケンブリッジ大学図書館・アストンコレクション

ケンブリッジ大学図書館所蔵『可笑記