如儡子・斎藤親盛の「百人一首注釈」

仮名草子作者・斎藤親盛(如儡子)は、『可笑記』『堪忍記』『百八町記』の他に、「百人一首」の注釈書も書いている。私は百人一首の研究者ではないが、仮名草子作者の如儡子の著作ゆえ、これをパスすることは出来ない。

如儡子百人一首注釈の原本は、国会・京大・彰考館に所蔵されていたが、最も優れたテキスト・『砕玉抄』が武蔵野美術大学に所蔵されていた。この写本に私が出会ったのは、平成13年(2001)であった。この写本は列帖装で、私は近世初期の書写本と思っている。以来、今日まで、断続的に研究してきたが、今日、ようやく、全冊翻刻が完了した。

●全209丁、15万8千字、この写本は、本文にも頭注にも殆ど振仮名が付いている。総字数はおそらく40万字になるだろう。この著作の翻刻作業は、全てパソコン入力であったが、長い長いトンネルを抜けたという感じである。しかし、近世初期の著者が、心血を注いで書き上げた注釈書であるから、これくらいの苦労は当然と言えば当然である。

●原稿を出版社へ渡すまでには、まだまだ、やるべき事がたくさんある。さらに、2つ目、3つ目のトンネルを潜らなければならない。そこまで、生きていられるか、不安であるが、表章先生の御研究を見習って進めたいと思う。

■■武蔵野美術大学図書館所蔵 『砕玉抄