表 章 先生  恩賜賞・日本学士院賞 受賞

日本学士院は、2010年度の日本学士院賞を11名の研究者に贈ると発表した。その中に、法政大学名誉教授の表章(おもて・あきら)先生も入ってる。表先生には、恩賜賞も贈られるという。心から祝福申し上げる。

●表先生は、東京文理科大学を卒業され、法政大学の教授となり、中世文学、特に能楽の研究をされた。1927年生まれで、82歳である。『鴻山文庫本の研究』という労作・名著をはじめ、多数の著書がある。法政大学野上記念能楽研究所の所長もされた。

●私は、近世文学専攻という事もあって、大学卒業後に、先生の講義を聴講させて頂いた。研究も実証的で厳密であるが、授業も厳しかった。先生は、長澤規矩也先生と行動を共にされることが多かったのか、その関係で、私は、いろいろの催しに表先生と同席させて頂いた。研究一筋の表先生は、心から尊敬していた先生であり、この度の、名誉ある受賞は、本当に嬉しい。

●私が昭和女子大学にいた頃、夕方、法政へ行った時、先生は大学からお帰りで、外堀の所ですれ違った。ご挨拶をしたら、これから大学? と問われた。先生は、私が法政で教えていると思っておられるようだった。学問一筋の先生には、そんな、超脱世俗的な一面があった。

●とにかく、先生の御研究が、広く認められ、このように、素晴らしい賞を受けられた事に、心からのお祝いを申し上げる。

■■表章先生 朝日新聞 2010年3月12日 夕刊