パッセ・カルトン

●本の製本の仕方にもいろいろある。江戸時代は、和本だから、絹糸で綴じた。和綴じである。近代になって、カガリ方式で、1折ごとに機械でかがって、背を固めるようになった。さらに、糸でかがるのではなく、無線綴じが開発され、接着剤で固める方式になり、現在は、これが主流である。
●ところが、自分の出した本を特別の製本様式で作りたい、という要望に応えて、凝った製本が行われるようになった。もう、これは、本作りの道楽の世界である。
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パッセ・カルトン
綴じつけ製本。
表紙の芯になる厚紙に、本かがりした支持体を通した丈夫な作り。
60以上の工程を手で行う、西洋伝統的手製本(ルリユール)の代表格。
見た目で溝がない。表紙が開く蝶番部を指で触って、支持体の膨らみでわかることがある。
語の意味
フランス語 パッセ(通す) カルトン(厚紙)
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ルリユール工房 について  
本工房は、ヨーロッパで伝統的な製本工芸の精神と技術を学んできた栃折久美子氏により、1980年、西武百貨店池袋コミュニティ・カレッジ内に創設されました。はじめは基礎的な「ルリユール入門」と上級の「パッセ・カルトン」のみのプログラムでしたが、やがて「書籍の修理と保存」、「デコール」、「なんでもルリユール」、「パソコンで本作り」などのクラスや、専門家養成のための「エコル・プログラム」が加わり、日本で唯一の総合的な本づくりの工房として現在に至っています。
 「ルリユールreliure」とは、そもそもフランス語で「本を綴じ合わせる技術」の意。仮綴じ本をいったんばらして、麻糸で丈夫にかがり直してから、革やマーブル紙といった美しい素材の表紙を貼り、さらには金箔やモザイクなどによってさまざまな装飾を施す。このようにして一冊の本を作り上げていく複雑で繊細な過程のすべてを、本工房では「ルリユール」と呼んでいます。
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●私も、自分の本を出すようになり、市販の本とは別の特別装丁の本を出したいと思うようになった。栃折久美子工房で修行していた安井さんに出会い、交流を深め、特別価格で製本してくれることになった。『井関隆子日記』3冊、『桜山本 春雨物語』3冊、『井関隆子の研究』2冊、計8冊をお願いした。貧乏研究者の道楽としては、分に過ぎたものであるが、安井さんのお蔭である。こんなことも、研究過程での思い出である。
■私の特別装丁本



■『井関隆子日記』





■『井関隆子の研究』


■『桜山本 春雨物語