音響設計士 永田穂氏

朝日新聞の「人生の贈りもの」欄で、音響設計士の永田穂氏を取り上げている。

永田穂(ながた みのる)
1925年生まれ。東大第一工学部を経てNHK放送技術研究所で音の研究に携わり、国立劇場、皇居宮殿などの音響設計を手がけた。71年に独立し、永田音響設計を設立。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
■静寂に心向け、響きを大切にする
 響きについて語る前に、私は「静けさ」に心を向けていただきたいと考えているのです。豊かさと引きかえに、私たちは静寂を失いました。ほんとうの静寂とは、音を排除した特別な空間ではなく、鳥や虫が鳴き、風が木の葉を揺らしたりする自然の息づかいのなかで「感じる」ものです。最近、他人が発する音や声が、妙に耳に障ることがありませんか。    【朝日新聞 1月20日 より】
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
●永田音響設計 聞いたことのある名前だと思ったら、甥の海老原信之君が、音楽ホールなどの模型で関係している会社だった。コンサートホールの音響実験用模型の製作をしているという。永田音響設計の仕事を手伝っていて、永田先生には、大変お世話になり、多くの事を教えて頂いているとの事だった。海老原君は、『永田音響設計 通信』に、次のような文章を書いていた。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
コンサートホール音響実験用模型製作の回想――その3
生き残った模型 (新日鉄紀尾井ホール)1993年6月〜9月

 この仕事をしていると「響きの良いホールって具体的にどんなホールですか」と聞かれて困る時があります。私共は音響実験のための器を造っているだけであり、音や響きといった抽象的な物に関しては門外漢なのですから…。あえて言えば席に座って演奏中に目を閉じたとき、実際の視覚より一回り大きな音場を感じるような、「豊か」と表現したら良いのでしょうか、演奏者と一体となったその音色に柔らかく包み込まれるようなそんなホールが個人的には好きです、とお答えしております。
 溜息のような弦の震えも手に取るように響く、紀尾井ホールはそんなホールです。(海老原信之)
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
●これまで、20件ほどのホールの模型を手がけてきたという。この数は業界ではトップクラスだという。海老原君の祖父は宮大工、父は数奇屋大工で、父から手ほどきを受けたという。私は、小さい頃から遊んだり、勉強を教えてやった、あの子供が、このような世界で活躍しているのか、そう思うと誇らしくなる。
■永田 穂 氏  朝日新聞 より