仮名草子『因果物語』の板木 発見
●近世の特に後期の俳諧研究の永井一彰氏と、近世初期の仮名草子研究の私との接点は殆ど無かった。平成15年10月9日、共同通信京都支社の記者の瀬川さんから昭和女子大の私に電話が入った。用件は、京都の仏光寺で、仮名草子『因果物語』平仮名12行本の板木が揃いで発見された。その外、『釈迦八相物語』御伽草子など40枚の板木もある。現在、奈良大学の永井一彰氏が調査中である。これについてコメントが欲しい、というもの。
●私は非常に驚いた。桜の自然木を利用する板木は、貴重な存在であるため、何回も削って利用するため、伝存は少ない。1つの作品が全丁揃いで発見されたとは驚きの出来事である。そんなことを喋ったら、京都新聞や東京新聞など、地方紙に掲載された。もちろん、この板木発見はビッグニュースゆえ、各新聞や、NHKなどのテレビでも報じられた。この時以来、永井先生とは交流が続いている。その後も、先生の板木の調査研究は続けられ、これから、その分野の業績も大成されるものと思う。それにしても、近世の出版は京都だと、つくづく思う。