中村雄昂氏 の遺著 『聞き書き 味覚繁盛』

●コーヒー樹屋のマスターから、中村雄昂氏の著作『聞き書き 味覚繁盛 東京のおかみさん打ち明け話』(1990年、ABC出版発行、定価1200円)も頂いた。食通・中村雄昂氏が東京の味の名店を紹介したものである。序文は、これまた味にうるさい落語家・林家木久蔵氏が執筆しておられる。収録する味の名店は、

○松永洋子・有薫酒蔵(九州郷土料理)
○長末梢・博多こずえ(博多料理)
坂上寿美・さつま(鹿児島料理)
○田島光代・奄美奄美大島料理)
○深沢マサ・珊瑚(沖縄料理)
○阿部なを・北畔(みちのく料理)
○水本洋子・吉水庵(懐石料理)

●など、19の料理店を紹介している。林家木久蔵氏の序文によると、中村氏は「食べ食べ会」を結成して、会報を出し、月に2、3回は、美味しい料理を味わって歩いたという。その成果がこの本に結晶したということらしい。中村氏は立教大学を卒業されて、株式会社商業界に入り、編集長や出版部長を歴任された後フリーとなられ、日本ペンクラブ会員である。私のお世話になった誠文堂新光社では、月刊誌『商店界』を出していた。『商業界』はライバル誌である。現在、『商店界』は休刊となり、『商業界』は刊行中である。ここでも、奇妙な縁のようなものを感じる。

■中村雄昂氏著『聞き書き 味覚繁盛 東京のおかみさん打ち明け話』