病膏肓に入る
●「病膏肓に入る(やまいこうこうにいる)」「膏」は、胸の下のほう、「肓」は、胸と腹との間の薄い膜。古来、ともに治療しにくい所とされる。不治の病気にかかること。中国春秋時代の故事で、出典は『春秋左伝、成公十年』の「疾為むるべからず、肓の上、膏の下に在り。」現在は、一般的に、「A 病気が進行して急には直すことが出来ないたとえ。B すっかり何かに病みつきになり、他人の忠告など受け入れる様子が全く見られないたとえ。」(『新明解国語辞典』)
●10月も今日で終わる。この10月25日、私は、長年手がけてきた、仮名草子作者・如儡子に関する伝記資料の小冊を纏めた。中間報告的な意味もあって、ごく近い関係者のみに差し上げた。中には、よくやった、と褒めて下さった方も、少しはおられたが、自分では、まだまだ、と思っている。
●そんな中で、さる友人から電話があり、やあ、本をどうも有難う、しかし、君、ここまでやるとは、これこそ、病膏肓に入る、というところだね。ご苦労さん。とねぎらわれた。考えてみれば、確かに、「すっかり何かに病みつきになり、他人の忠告など受け入れる様子が全く見られない」行動であった。何しろ、作者のお墓を掘り返してしまったのだから、これは常軌を逸している。
●私は、NHKのBSで放送している、熱中人の番組が好きで、よく見る。中には、病膏肓に入っている人もいるが、何かに熱中している人は魅力的に思える。