国のため 家のため に・・・

●菊池先生にお願いしていた、鈴木重嶺の掛軸が届いた。

■山崎林之助ぬし 乞ふにまかせて 思ふ心をよめる 従五位重嶺
  国のため家のためにといそしまば 
     子のこの子まで いやさかえなむ

●幕末維新に活躍した鈴木重嶺は、明治9年、官を辞した時、従五位に叙せられた。旧幕時代には佐渡奉行をつとめ、明治維新後の新政府にも協力したことが評価されたのである。引退後は歌を詠み、歌を教えた。

●重嶺・翠園と交流した政治家・文化人・歌を志す人々は少なく無かった。この山崎林之助という人物もその1人であろう。どこの人で、どんな立場で、どんな生涯を送ったかは未詳である。ただ、重嶺に歌を乞うた山崎某は、この翠園の歌を軸装にして、床の間に掛け、一生懸命に生き抜いたものと思う。国のため、家のために生き抜いた山崎某に対して、自分の為に生きてきた、私は、何か後ろめたい思いがする。

鈴木重嶺の掛軸