本庄正宗(ほんじょう・まさむね)

●正宗は、鎌倉時代末期から南北朝時代初期に活動した刀鍛冶の名工である。相模の国の「相州伝」の完成者といわれている。刀工・正宗の作品は大部分が無銘とのこと。現在、伝わっているのは、国宝9点、重文10点、名物41点らしい。

●その中の1点に、「刀 徳川将軍家旧蔵(名物本庄正宗) 号は上杉家の武将本庄繁長が、敵将東禅寺勝正から奪った物である事に因る。上杉家から複数の所蔵先を経て徳川将軍家の所蔵となる。 昭和20年末、米軍人に持ち去られ以後所在不明」とWkipediaにはある。この刀は、近世初期に、出羽庄内で本庄繁長と東禅寺勝正が戦って、勝正は敗れたが、その時に持っていた刀であるという。それが徳川将軍家の所蔵となり、第二次世界大戦終結の時、アメリカが持ち去ったらしい。あるいは、終戦の時の、象徴的な戦利品として、アメリカに渡した可能性もあるのかも知れない。今後、アメリカで所在が明らかになる可能性はあるだろう。

●私も、この「本庄正宗」には、早くから興味をもっていた。というのも、もともとの、この刀の所有者は東禅寺勝正であり、勝正は東禅寺右馬頭で、東禅寺筑前守氏永の弟である。さらに、『可笑記』の作者・如儡子、斎藤親盛の母方の舅であるからである。これは看過できない。

●今日、浅井了意の『可笑記評判』巻10の20の本文を校訂していて、この条に出合った。


■■ 名物 本庄正宗