校正作業終了

●昨年末から年初にかけて、2つの叢書の本文校正が重なり、老人には少々シンドイ日々が続いていた。特に『仮名草子集成』の方は、林羅山の『棠陰比事加鈔』で、これは大変だった。とはいえ、私はサブ校正ゆえ、まだ、何とか逃げ場がある。この原稿を作成し、最後までまとめる担当者の御苦労に比べれば、大した事ではない。古典作品の校訂は、最後の最後に残った問題点を解決してはじめて終る。
●毎日毎日、諸橋大漢和を引きながら、一字一字確認して進める。なんと私は無知なのか、そう思いながら辞典を引く。これは、大漢和か日国か、それとも歴史大辞典か仏教語辞典か、広辞苑は殆ど引かない。しかし、三省堂の新用字辞典や変体仮名辞典は手離せない。そんなレベルの校訂である。1頁進めるのに何回辞典を引くか。とにかく、学問は底無しである。シンドイ研究などやめて、お茶の間テレビの殺人事件のコメンテータになりたくなる御仁のお気持ちも、少しはわかる。
■『棠陰比事加鈔』