「日本教育史学会」 のこと

●石山秀和氏の労作『近世手習塾の地域社会史』を読んでいたら、当然の事ではあるが、石川謙氏の名前があちこちに出てくる。石川氏の蔵書は、謙堂文庫と言って、貴重な教育関係の書籍が所蔵されている。私は、仮名草子の諸本調査で、何度かお世話になった。
●石川謙氏の御子息が石川松太郎氏で、氏は日本教育史学会の会長をされていた。私は、平成6年2月26日、この日本教育史学会の月例会で「仮名草子の女訓物」と題してお話させて頂いた。石川先生から依頼されたからである。参加者は、日本女子大や諸大学の先生や院生で、大変熱心な方々だった。
●私は、このような、お話をする時、持ち時間ギリギリまで喋って、質問が出ないようにしていた。ところが、この学会は、90分話して、その後、30分くらい質疑応答の時間が決められていた。確か、係りの方がベルか何かで知らせてくれた。これでは、質問がイヤなどとは言っていられない。参加者の熱心な質問や御意見に対して、冷や汗をかきながらお話した事を、昨日のことのように覚えている。しかし、有り難い体験だった。
●会場は、謙堂文庫だったが、そこに大きな額が掛けてあり、「読書怡心 三上」とある。伺うと、三上参次氏の書であり、三上参次氏は石川謙氏の恩師だと教えてくださった。あの大学者のこの書に、私は大感激して、篆刻家・冨樫省艸氏に依頼して、二印を刻して頂いた。
日本教育史学会

■「読書怡心」