石山秀和著 『近世手習塾の地域社会史』 刊行

●石山秀和氏の『近世手習塾の地域社会史』が刊行された(平成27年1月31日、岩田書院発行、定価7900円+税)。概要は次の通りである。
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目  次

序 章 手習塾にみる庶民教育研究の課題
 
第一部 江戸周辺農村の教育

第一章 手習塾の普及―村落文化の視点から―    
第二章 手習塾の普及と寺院―熊谷地域を事例として―   
 補論一 戦後建立の筆子塚にみる「江戸」の「教育社会」 
第三章 手習塾「尚古堂」の考察―門人と教育内容の分析を中心に― 
第四章 手習塾「安川舎」の考察―手習塾の地域社会内での位置― 
第五章 「大野塾」にみる江戸時代の教育文化   
第六章 手習師匠の文化活動と地域社会
 
第二部 都市江戸の教育

第一章 幕末維新期における江戸東京の手習塾 
第二章 天保改革期における幕府の「教育」政策と手習師匠   
第三章 近世後期における江戸の「教育社会」と門人形成   
第四章 手習師匠 曲亭馬琴   
第五章 江戸の手習塾と年中行事 
 補論二 絵画にみる江戸の教育
 
結語 近世における手習塾のあり方 

あとがき
索 引 
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●私は、門外漢ながら、本書を拝読して、様々なお教えを頂いた。近世の私塾ともいうべき手習塾の実態を解明するために、様々な史料を渉猟し、具体的な現地を探索して、歴史的史実の解明に挑む姿勢に感動した。畑違いでよくは解らないが、この主題で、このような研究は、これまで、少なかったように思う。それにしても、天保期に、幕府が『六諭衍義大意』を手習師匠に配布したことを初めてしった。
●実は、石山秀和氏には、私が、まだ、昭和女子大に勤務していた頃、大変お世話になった。イタリアの仮名草子研究者、ラウラ・モレッティ氏に依頼されて、歴史的な古文書の判読を指導してくれる人をさがした事があった。江戸博に依頼して、石山先生を紹介されたのである。実は、私は、近世版本の変体仮名は読めるが、古文書は読めない。それで、高田馬場で、ラウラ氏と共に石山先生にお会いして、御指導をお願いしたのである。ラウラ氏は、以後、日程を組んで、石山先生の御指導を頂いた。とても、解りやすく御指導頂いたと、ラウラ氏は感謝していた。
●今回、御著書を拝読して、石山氏の研究の全貌を初めて知ったが、このような大きな目標を持って、研究されていたのである。石山氏は、現在は、江戸博から、母校の立正大学文学部に移られた。なお、本書は、博士論文を単行本にしたものである。見事な成果だと、私は思う。
★本書の詳細 → http://www.ksskbg.com/sonota/shin.htm
■石山秀和著『近世手習塾の地域社会史』