『昭和女子大学 日本文学紀要』 発行
●昭和女子大学の『日本文学紀要』が発行された。大学の月刊の機関誌『学苑』の第891号である。70余年の歴史を持つ。月刊であるが、月によって、それぞれの学科の紀要に充てられている。日本文学科は、毎年1月1日発行である。本年の収録論文は以下の通りである。
昭和女子大学 日本文学紀要 『学苑』第891号
平成27年1月1日発行
目 次
○『古事記』雄略天皇条の構成
―若日下部王と赤猪子の伝承を起点に― 烏谷 知子
○王朝歌人と陸奥守 久下 裕利
○更級日記の「ちちぶの山」について
―父と娘の東国― 元吉 進
○徒然草烏丸本系統第三類の性格
―嵯峨本・烏丸本に対する田中忠三郎蔵本の劣化性―
齋藤 彰
○馬瀬狂言資料の紹介(8) 山本 晶子
―「花子」について―
○泉鏡花「年譜」補訂 吉田 昌志
○〔研究ノート〕
小学生の言語観に関する一考察
―研究成果の社会還元・普及事業の実践から―
鈴木 洋子
○日本文学研究会
○平成二十六年度大学院日本文学専攻修士論文題目
○平成二十六年度大学院言語教育・コミュニケーション
専攻(日本語教育)修士論文題目
○平成二十六年度日本語日本文学科卒業論文題目
●収録された論文は、いずれも力作・労作である。烏谷知子氏の『古事記』研究もますます深化している。私が現役の頃、烏谷氏が図書館の書庫で資料を探索しておられた姿が、今もありありと目に浮かぶ。齋藤彰氏の『徒然草』諸本の研究は、究極の域に到達している。今や、学界の第一人者だろう。『徒然草』の諸本に関して、齋藤氏から御指導頂いたことが、感謝と共に思い出される。山本晶子氏の馬瀬狂言の研究は、目覚しい進展を見せている。現地に足を運び、原資料を丹念に調査し、その実体を把握して、調査・分析・定着する。山本氏の研究は、やがて大きく実るだろう。
●巻末に掲げられた、平成26年度の卒論の題目を一覧して、近代文学が多いのは、いつもの通りであるが、近世以前の古典の作品を選択した学生が3分の1もいることは、注目したい。
■平成27年、昭和女子大学『日本文学紀要』