村上 直 先生 を悼む

●今日、村上直先生の奥様から、年賀状と『近世初期文芸』第31号のお礼状を頂いた。村上直先生は、昨年2月10日に御他界なされたとのことである。御年は88歳であられた。

謹んで 心からお悔やみ申し上げます。

6月に出した『芸文稿』第7号を差し上げていれば、もっと早く悼むことができたのではないかと、悔やまれる。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
村上直[ムラカミタダシ]
1925年、東京都生まれ。東京第一師範学校を経て、1951年、法政大学文学部卒業。1958年、東京都立大学大学院(日本史専攻)修了。文学博士。現在、法政大学名誉教授。江戸幕府の政治、特に関東を中心に代官及び天領、江戸近郊の地域史の研究に取り組んでいる

肩書:法政大学名誉教授
経歴:
1965年4月  駒沢女子短期大学講師・助教授・教授
1971年10月 法政大学文学部助教
1973年4月  法政大学文学部教授
1974年3月  文学博士を授与される
1978年4月  文学部長・能楽研究所長
1981年7月  通信教育部長
1993年11月 川崎市文化賞(学術)を受賞
1996年4月〜 法政大学名誉教授 現在に至る

主な著書:
1965年 『天領』 人物往来社
1983年 『江戸幕府の代官』 国書刊行会
1997年 『江戸幕府の代官群像』 同成社
     『江戸幕府の政治と人物』 同成社
2004年 『江戸近郊農村と地方巧者』 大河書房 他
  【かわさき科学アカデミー】より
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
●村上先生は日本歴史専攻であり、私は近世文学であるので、特に接点はなかった。しかし、近世史専攻の先生の著作は、かなり前から読んでいた。初めてお会いしたのは、佐渡の「天領セミナー」だったと思う。突然、佐渡毎日新聞の磯野さんから電話があって、セミナーに参加しないか、と誘われた。私が、鈴木重嶺の研究をしていたからである。
●その後、新大久保の全龍寺にある、鈴木重嶺墓所を新宿区の史跡に指定申請することになり、この時も村上先生に御指導頂いた。「鈴木重嶺顕彰会」立ち上げの時も村上先生に顧問になって頂いた。
●平成14年には、鹿島則孝の『桜斎随筆』を本の友社から出す事になったが、その中の『あすか川』は歴史的要素が強いので、村上先生に編者になって頂いた。先生は快く引き受けて下さり、詳細な解説を書いて下さった。
。。。。。。。。。。。。。。。。。
・・・『桜斎随筆』のうち、巻17から巻30の15巻は、特に「あすか川」と題してまとめた資料が収録されている。『国書総目録』によると、「あすか川」または「飛鳥川」と題する随筆集は他にも見うけられるが、本書のように全1260余丁、千余項目に及ぶ大部なものは見当たらない。本来「あすか川」とは、大和国奈良県)の中部を流れる川の名であるが、歌枕にもよく詠まれている。「あすか川」は、古来流れの変化が激しかったので、よく定めなき世の中の例えに引用されることが多くあったといわれる。したがって、学殖豊かな鹿島則孝が、幕末維新の激動を川の流れの激しさに譬え、「あすか川」と名付けたのではないかと推測することができる。・・・
。。。。。。。。。。。。。。。。。
先生は、このように記しておられる。この本の出版の時は、本の友社の編集者と共に、村上先生と何回もお会いして、多くの事を御指導頂いた。
●以後、何か書いたりした時は、先生に差し上げたが、その度に、励ましのお言葉を賜った。文学研究が専攻ではあるが、歴史を重視して、歴史に興味をもっていた私は、村上直先生から、非常に多くの事を御指導いただき、心から感謝している。
■村上直先生  かわさき科学アカデミー での講演

■『桜斎随筆』『あすか川』全8巻
 平成14年11月10日 本の友社発行


■村上先生の解説