蒹葭堂旧蔵書と内閣文庫

●長澤孝三氏の「蒹葭堂旧蔵書の幕府への移管に関連して」(『蒹葭堂だより』第14号、平成26年11月23日)を読んだ。内閣文庫長だった長澤氏の執筆ゆえ、教えられる点が多い。内閣文庫の所蔵本は約49万冊だという。和書約28万冊、漢籍約18万冊、これに洋書等が加わる。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
漢書江戸幕府の蔵書である紅葉山文庫本に昌平坂学問所本、和学講談所本、医学館本などを加えた旧幕府各文庫の蔵書を中心としており、歴史・文学などの図書が中心である。洋書は各官庁が近代化政策のための参考資料として収集した図書類で、法律、政治などの社会科学書が中心である。【ウィキペディア より】
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
●この度の、長澤氏の論説は、大阪の博物家として有名な蒹葭堂・木村孔恭の旧蔵書が、内閣文庫に移管された経緯を詳細に調査分析しておられる。享和2年(1802)木村孔恭が没すると、幕府は、その相続人に対して、旧蔵書の目録を提出させたという。その目録をチェックして、その一部が江戸へ送られたという。それは、合計2357冊であったという調査があるという。これに対して幕府は500両を下付したという。幕末とはいえ、まだまだ幕府の権力は凄いと思う。
●長澤氏は、現存する旧蔵書を蔵書印から調査され、
国書・・・111部4舗191冊。
漢籍・・・361部1925冊。
合計・・・472部4舗2117冊。
と報告しておられる。
●私は、仮名草子を研究しているので、内閣文庫にも、大変お世話になり、長澤先生にも多くの事をお教え頂いてきたが、昌平坂学問所本、和学講談所本などの成立の過程を教えて頂くと、また、そこから多面的な情報が得られて、1冊の資料の背景に思いを及ぼすことになる。有り難いことだと思う。
■『蒹葭堂だより』第14号

■蒹葭堂の蔵書印