古典の現代語訳

●今日の朝日新聞で、池澤夏樹大江健三郎の対談を取り上げている。池澤夏樹個人編集の「日本文学全集」全30巻、河出書房新社に関連してのもの。今度の全集で、古典の現代語訳に取り組むのは25人だという。大江は、
●「翻訳することで、作家は自分の表現や文学観を超えるだろう。日本文学が変わると思う」と期待しているという。私も、この全集の内容見本を見て、古典の現代語訳の担当者を見て、期待できるという予感を覚えた。
●古典の現代語訳は、訳者によって、かなり違う。『与謝野源氏』と『谷崎源氏』を比較しても、その差は歴然たるものがある。私が、学生時代に感じたことを、近時、田中宏氏が実証してくれた。
●以前、『井関隆子日記』を新書で紹介した時、私の原文の〈意訳〉の部分をとらえて「ぞんざいな現代語訳」とネット上で評した御仁がいた。古典を現在の一般読者に紹介するには、それなりの方法・手段があるのである。大学入試の問題とは、全くちがう。
●何はともあれ、今度の「日本文学全集」の古典の現代語訳の担当者の手腕に期待したい。何よりも、古典の良さを現在の人々に知って欲しい。
朝日新聞、デジタル