「新 天理図書館 善本叢書」

●今日、八木書店から「新 天理図書館 善本叢書」のパンフレットが届いた。全5期36巻である。古代から近世までの稀覯書を精選して複製する。近世では、第5期に「西鶴自筆本集」「芭蕉集」などが収録される。さすがに、天理図書館の所蔵本だと思う。これで、古典研究もさらに深化するだろう。
●複製ゆえに、その出来栄えが問題になる。私の若い頃、古典の複製出版が盛んに行われた。当時の印刷技術は、それほど進んでいないので、中にはかなり粗悪な出来栄えのものもあった。それらの中で、勉誠社の「近世文学資料類従」は、複写技術も印刷技術も優秀で、収録作品も多くて、大いに研究を進展させた。
●今回の「新 天理図書館 善本叢書」は、印刷技術が凄い。高精度のデジタル撮影、最新技術による最高度の製版、とある。最新技術による高精細ハイブリッドスクリーニングで製版するという。私には理解できないが「AGFAスプリマ240線」だという。
オフセット印刷は、網点のスクリーンを通して写真の濃淡を印刷版に再現する。スクリーンの網の線数も、新聞・雑誌、中質紙、上質紙、コート紙・アート紙によって変わる。普通、新聞などは50〜65線、中質紙は75〜85線、上質紙は100〜120線、アート紙は133〜150線、特殊美術印刷には175〜200線のスクリーンが使用されてきた。その時代に、勉誠社の「近世文学資料類従」は200線だったと聞いている。いかに優れた再現性の複製だったかが知られる。
●私は、このシリーズの解説担当者に入れて頂いた関係もあって、天理図書館には、大変お世話になった。木村先生、金子先生などにご指導を頂いた。今回のパンフレットに天理図書館の正面カウンターの写真がでている。実に懐かしい。
■「新 天理図書館 善本叢書」


天理図書館の正面カウンターの写真