私と自費出版

●私は、原稿を書いたら、すぐ、書籍として出版するか、雑誌に発表するか、そのようにして、原稿を机の中にしまっておくことはしない方針である。しかし、自分が思うように、先方は必ずしも応対してくれない。そこで、自分で経費を払って本を出すことになる。「自費出版」を私は大好きである。これ迄、自費出版で出した本は、次の通りである。

1、可笑記評判、昭和45年12月25日、近世初期文芸研究会発行。
2、鹿島則孝と『桜斎随筆』、平成5年6月25日、深沢秋男発行。
3、神宮々司拝命記、平成10年7月25日、深沢秋男発行。
4、斎藤親盛(如儡子)伝記資料、平成22年10月25日、近世初期文芸研究会発行。

1、可笑記評判

日本文学研究会の月例会で、浅井了意の『可笑記評判』について口頭発表した。席上、編集委員の先生から、この作品は未翻刻だから、機関誌『文学研究』に翻刻してはどうか、という意見が出され、翻刻掲載することになった。早速、原稿執筆にかかったが、結果的には大部過ぎて、雑誌では無理と判明、そこで、自費出版で出す事にした。製版は、孔版で、タイプ印刷だった。タイプ印刷の活字には無い漢字が多く、活版の岩田母型から活字を購入し、それでも無い活字は、はんこ屋さんに木活字を彫ってもらった。
●全10巻、600丁という大部の作品ゆえ、『可笑記』の本文は省略して、了意が追加した評判の部分のみ翻刻した。製本は和装、神田の謡本専門の川嶋製本にお願いした。120部発行し、実費は1冊650円だった。これが、古書店で、現在、1万円位で出ている。

2、鹿島則孝と『桜斎随筆』


桜山文庫鹿島則孝の膨大な記録、『桜斎随筆』が所蔵されていた。これを何とか公刊したいと、何社かの出版社に打診したが、引き受けてもらえなかった。全54巻、60冊、3514丁、7000頁というものである。しかし、幕末・維新の記録として、貴重な資料ゆえ、是非出版したいと、この本を出して、出版界にアピールしたのである。
●それから7年後の、平成13年、本の友社で出版してくれることになった。菊池眞一先生の御配慮によるものである。全18巻、36万円という形で世に送り出すことが出来た。これも、自費出版までして、紹介した努力の結果だと思う。

3、神宮々司拝命記

これも桜山文庫と関係する。鹿島神宮の大宮司家には、鹿島則文鹿島則孝関係の写本がかなり所蔵されていた。当時の所蔵者、鹿島則幸氏の御好意で、その、26点、38冊を拝借して、調査した。そのうちの1点がこの『神宮々司拝命記』である。翻刻には、昭和女子大学加藤幸子氏、鹿島神宮の鹿島則良氏にも協力してもらった。貴重な内容であり、140頁の小冊であるが、今、古書店で7000円位で出ている。

4、斎藤親盛(如儡子)伝記資料

如儡子・斎藤親盛の伝記研究は、未だ完結していないが、平成23年10月、酒田市の上日枝神社の境内に「齋藤筑後守記念碑」を建立することになり、その除幕式にお招きする方々へ差し上げるために、出版したものである。
可笑記評判

鹿島則孝と『桜斎随筆』
 これは、本の友社 から出したときのもの

■『桜斎随筆』  本の友社発行
 
■神宮々司拝命記

■斎藤親盛(如儡子)伝記資料