バチカン図書館所蔵古文書 デジタル化

●今日の朝日新聞の「世界発」によると、ローマのバチカン図書館の古文書、8万冊、約4000万頁をデジタル化するプロジェクトが進行中だという。しかも、これを進めるのは、日本の企業・NTTデータだという。初期契約は23億円で、初期システムの構築など、4年間で3000冊のデジタル化を行うという。素晴らしいニュースである。
バチカン図書館には、現在、160万冊の蔵書があり、この中の貴重資料、8万冊をデジタル化する。現在、3台のスキャナで進めているが、これを50台に増やし、作業員を100人に増員して進めても、15年はかかるという。費用も68億円はかかるらしい。これらは、世界中からの寄付金でまかなう予定だという。
●このデジタル化の事業とともに、バチカン図書館は「マレガ・プロジェクト」も進めるという。マレガ文庫は、マレガ神父が集めたもので、江戸期のキリシタン史料が多く、貴重なものらしい。日本側の代表は、国文研の大友一雄氏だという。大いに成果を期待したい。
●このバチカン図書館のマレガ神父の、マレガ文庫に関しては、現在、ケンブリッジ大学におられる、ラウラ・モレッティ氏から、以前、お話を伺ったことがある。ラウラ氏は、2005年の頃、バチカンに通って、マレガ文庫の蔵書を一点一点調査して目録を作成しておられた。懐かしく思い出される。
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(世界発2014)聖なる古文書をデジタル化 バチカン図書館、8万冊計画
2014年10月22日05時00分
 聖なる図書館に眠る古文書を、広く人類の資産に――。ローマ・カトリック教会の総本山バチカンで、図書館に所蔵される手書き文献約8万冊(約4千万ページ)をすべてデジタル化する壮大な事業が進んでいる。担うのは日本企業だ。


 世界の主要な図書館や美術館で、デジタル化は進んでいる。バチカン図書館にはキリスト教関連以外にも貴重な史料が多く、デジタル化は喫緊の課題だった。
 すべての手書き文書のデジタル化をめざし、図書館は今年3月、NTTデータ(東京都江東区)と23億円規模の初期契約を結んだ。日本の国会図書館のシステム導入など開発力の実績を評価した。手始めは、システム構築も含めて4年間で3千冊分だ。すでにボッティチェリが15世紀に描いたダンテの神曲の挿絵や、江戸期の弾圧の中で殉教を誓った日本人信者の連判状などが、この事業のホームページに掲載された。
 同社の許可を得て、デジタル化の作業を取材した。世界中の信者や観光客でにぎわうバチカンの表通りに面した建物。重い扉を開けて館内に一歩入ると静まりかえり、スキャナーの操作音だけが響く。
 データの取り込みは一枚ずつ手作業だ。史料は古くて2世紀のものからあり、劣化した紙もある。羊皮紙やパピルスに書かれたもの、金銀で装飾されたものもある。傷つけないよう、繊細さが求められる。
 図書館のドイツ人職員、イルマ・シューラーさんは「放っておけばなくなってしまう文書たちを半永久的に保存できる。すばらしい意義のプロジェクトに参加できた」と語った。
 ガラスに傷がついていないか、ほこりや髪の毛をはさんでいないか。読み取りデータの管理役として、NTTデータの日本人社員3人が、7月から駐在する。現地の管理マネジャー高橋由香さん(34)は日本ではシステム構築に携わってきた。バチカンでは一転して、画像の品質に一枚ずつ目をこらす毎日だ。「日本ではこちらの提案を元に判断してもらうことが多いですが、バチカンでは一から全て話し合って決めようと言われました。何事も議論を尽くすやり方に、初めは驚きましたが、ようやく慣れてきました」と話す。
 すべてデジタル化できるのはいつになるのか。パシーニ館長は記者会見で質問を受け、「神のお望みのままに」と口にした。
 現在3台のスキャナーを50台まで増やし、作業員を100人に増員しても、15年かかる見込みという。少なくとも5千万ユーロ(約68億円)かかるとみられる。
 事業は世界中からの寄付による基金で運営する仕組みで、募金用のホームページ(https://support.digitavaticana.org/contribution?language=ja)も開設された。

朝日新聞 以下略】
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■古文書をデジタル化の作業の様子
  朝日新聞 デジタル より

バチカン図書館