「武士道の系譜」 笠谷和比古氏の講演

●武士道協会発会式記念講演で、笠谷和比古氏が「武士道の系譜」と題して講演されたことを知った。笠谷氏には『武士道』という著書がある。笠谷氏は、武士道の系譜として、『甲陽軍鑑』・『諸家評定』・『可笑記』・『葉隠』・『明君家訓』を採り上げておられる。近世の武士道を論じる時に、仮名草子の『可笑記』を入れて下さったことに、敬意を表する。このことは、研究史上、新渡戸稲造の『武士道』以来の新展開である。感激している。
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如儡子可笑記

近世前期に登場した書物において、武士道概念の歴史に重要な足跡を残しているのが寛永年間に出版された『可笑記』である。『可笑記』は五巻からなる武士教訓書、寛永19(1642)年の板行。同書のスタイルは『徒然草』を擬した随筆体で、時世を風刺し、当世武士の不覚悟を訓戒する教訓書。
作者は斎藤親盛saito tikamoriという名の浪人武士(旧山形藩最上家家臣)。

★同書が世にでるや人々の間で好評を博し、寛永19年版ののち万治3(1660)年にも新たな版本が出版され、さらに刷りを重ねながら元禄時代に至ってもなお流布。

「当世のわかき侍に武士道を吟味し、剛なる心がけをたしなむべしといへば、はうばいづきあらく、少の事にも小ひじをはり、眼をみはりうでだてをし、詞をちらし、いはれまじき悪口して、けんくわずきとなり、犬、猫、庭鳥のよりあひのごとし」

「武士道のぎんみと云は、うそをつかず、けいはくをせず、ねいじんならず、へうりをいはず、どうよくならず、不礼ならず、物毎じまんせず、おごらず、人をそしらず、ぶ奉公ならず、はうばいの中よく、大かたの事をば気にかけず、たがひに念比にして人を取たて、じひふかく、義理つよきをかんようと心得べし、命をしまぬ計をよき侍とはいはず」

★ 徳義論的な武士道論の成立
★『可笑記』の普及度の高さ。近世小説の祖型として井原西鶴ら後代の作者たちからも尊重、敬慕
★武士道説は武士社会の限定を超えて、一般庶民の社会の中へ普及
ex.菱川師宣の武者絵本『古今武士道絵づくし』
(貞享2=1685年 江戸で出版)
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●今朝、妻を送った帰り。新所沢の公園で保育園の子供たちが、先生と元気に遊んでいた。小さな虫を見つけて大騒ぎの子、小石を集める子、どんぐりを拾う子、みんな元気いっぱい。一人の女の子が私の前に来て、これ上げる、と松ぼっくりをくれた。ありがとうね、家に飾るね。バイバイ、とお礼を言って、手を振ってわかれた。
★講演「武士道の系譜」の全文 → http://www.ksskbg.com/nyorai/nyorai.html
■講演「武士道の系譜」


■頂いた 松ぼっくり