『赤毛のアン』 刊行

●NHKの朝のドラマ「アンと花子」は、とても面白く、ほぼ、毎日見ている。今週で終りということで、村岡花子訳『赤毛のアン』の出版が決まって、ようやく日の目を見た。出版社の編集者・社長とのやりとりが、とても面白く、翻訳者・花子の気持ちは、経験したことの無い人には、響き方が少ないかも知れない。花子は、戦火の中も、原書と原稿を大切に保存して、守り抜いてきた。原稿が完成して、方々の出版社に頼み込んで歩いたが、引き受けてくれる出版社は無く、6年間が過ぎてしまったという。1冊の本を出版するという事は、なかなかたいへんなのである。
●出版社の社長も、今度は、真剣に原稿を読んだ。そして、出版を決断した。この時の花子の嬉しさは、私には、ヒシヒシと伝わってきた。自分では優れた内容の原稿だと思っても、編集者や出版社の社長の識眼に叶わなければ、出版には結びつかない。花子は、この原稿を、あちこちの出版社に売り込んだ。しかし、皆、断られた。そのような経過を辿った本だけに、中身が印刷され、表紙もついて、1冊の本として書店の店頭に並んだ時の、胸のトキメキは、経験者にしかわからない。点転とする書名のことも面白い。素晴らしい、朝ドラだった。
■『赤毛のアン』発売