懐かしい雑談

●今日は、研究会の月例会があって東京へ出た。2人の研究発表が終って雑談の中で、文学研究の仕方について、若い研究者から意見が出された。席上、様々な意見が出され、大変参考になったが、私は、出席者の方々の御意見を伺っているだけで、これと言った発言はしなかった。
●そういえば、私が学生時代に、大変な勢いで活動していた、日本文学協会という学会があった。実は、私は大学3年の時から会員になった。法政大学の近藤忠義先生、重友毅先生、西尾実先生、小田切秀雄先生、小原元先生などが活躍されていたからである。私の所属する、日本文学研究会の、機関誌『文学研究』の創刊号には、この、日本文学協会や新日本文学会から祝辞が寄せられている。
●この日本文学協会は現在も活躍中で、機関誌『日本文学』は月刊で刊行中である。この学会の創立当時の綱領は、次のようなものである。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
日本文学協会綱領 (1950・5・27 採択)

  日本文学協会は、日本文学ならびに国語教育に関する研究を科学的におし進める団体である。    
  文学の遺産は、広汎な民衆に基礎をおく発展的民族的な新しい文化の建設に役立ってこそはじめてその意義をもち、国語教育もこのような立場から行われてこそはじめてその積極的な役割を果すことができる。
  われわれは日本民族が生みだした文化遺産について、埋れているものはこれを発掘し、すでにあきらかにされているものについては、過去の研究業績を批判的に摂取して、あたらしい創造的評価を確立しつつ日本における文学の課題を明確にするとともに、その成果をひろくあたらしい文化の担い手である民衆のものとするために努力する。
  そしてこのような現実的な課題にこたえるために、われわれは従来の学界に強く根をはっているセクショナリズムを排除し、あらゆる日本文化の研究者もしくは研究団体との共同研究、相互批判を促進する。   
  またひろく内外の民主的諸団体とも提携して、われわれの研究発展のために欠くことの出来ない学問、思想の自由、ひいては平和と民族文化の自主確保のために働く。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
●現在刊行中の『日本文学』収録の諸論文は、このような綱領の下に集結された研究者の執筆されたものであろう。長い年月の間、研究活動を継続していることに敬意を表する。
●そういえば、最近、次のような研究も出されている。
。。。。。。。。。。。。。。。。。
「歴史社会学派」の歴史的行跡の研究、ならびに基礎資料のデータベース化

藤村 耕治  法政大学・文学部・准教授
杉本 圭三郎  法政大学・文学部・名誉教授
天野 紀代子  法政大学・大学院・兼任講師
勝又 浩  法政大学・文学部・教授
日暮 聖  法政大学・文学部・教授
小秋元 段  法政大学・文学部・准教授
坂本 勝  法政大学・文学部・教授
衣笠 正晃  法政大学・国際文化学部・教授
杉本 圭三郎  法政大学・名誉教授
堀江 拓充  法政大学・文学部・教授
飯田 泰三  島根県立大学総合政策学部・教授
島本 昌一  法政大学・兼任講師
山中 秀樹  京華高等学校・教諭
齋藤 秀昭  芝学園高等学校・非常勤教諭
加藤 博之  芝学園高等学校・教諭
伊藤 博  法政大学・大学院・博士課程他多数

                                                                      • -

日本の国文学研究方法を革新したといえる「歴史社会学派」は、活動を開始した戦前期から、戦後の長い期間にわたって学界に大きな影響を与えてきた。本研究では、この学派の出発期の活動を中心に、入手困難な貴重資料のCD-ROM化、年表・参考文献の整備などを行い、かつ学派の中心人物の一人であった近藤忠義についての再検討を行った。その成果はひとまず、「近藤忠義・人と学問」第一集・第四集ならびに「歴史社会学派研究・資料編」にまとめられた。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。
●私は、法政大学の学生時代から仮名草子研究を続けてきたが、このような回顧的な研究に出会うと、誠に感慨深い。今日は充実した一日であった。