黄緑色の ランドセル

●2005年に栃木今市市で刺殺された小学1年生、吉田有希ちゃん。その犯人が逮捕された。このニュースは、本当に心をいためる。今日の天声人語は次のように記す。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
幼い犠牲者たち 
亡くなった子のランドセルが見つかっていないと聞いて、石垣りんさんの詩句を思い浮かべた。〈あなたはちいさい肩に/はじめて/何か、を背負う/机に向かってひらく教科書/それは級友全部と同じ持ちもの/なかには/同じことが書かれているけれど/読み上げる声の千差万別〉。

 「ランドセル」と題する詩は、〈かわいい一年生よ〉と締めくくられる。凶行に遭った女の子は小1だった。事件がなければ、いまごろは高1の衣替え、青春を闊歩(かっぽ)する年頃になっていたはずだ。

 栃木県で8年半前に起きた事件で男(32)が捕まった。殺害容疑を認めているという。学校帰り、いつもの三差路で友達と手を振り合ったのが最後になった。ご両親の時間は、あの日のままで止まっていたに違いない。

 もう一つ、子どもの痛ましい事件が神奈川県であった。アパートの部屋で男児が白骨遺体で見つかった。放置されて、ひとりぼっちで衰弱死したと思われる。5歳で死亡し、発覚までに7年余が経過した。天井や壁だけが見ていた幼子(おさなご)の死は、あまりにむごい。

 この子はランドセルに腕を通すこともなく、行方不明として学齢簿からも消されていた。父親(36)は逮捕されても命は戻らない。生きていれば春からは中学生のはずだった。

 石垣さんの詩は、1年生をただかわいいと言うのではない。小さな肩に「人生」を背負いはじめる子らを、静かに見守るまなざしに満ちている。事件も虐待も、万の目をこらして防ぐつとめが大人にはある。
【以下省略】
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
●お隣のYちゃんは、この4月2年生になった。昨年、新1年生として、入学した時は、1日1日、学校で習ったことを知らせてくれた。「私は1年3組だよ」「カタカナもかけるよ」と報告、道路にチョークで「しき 1+1=2」とも書いていた。ランドセルには黄緑のカバーを掛けていた。カバーが綺麗だねと声をかけると、「こうつうあんぜんッ」と教えてくれた。今年の4月には、黄緑カバーは外して、上級生になった。そうして、新しい1年生が加わって、黄緑色のランドセルで、毎日、学校へ通っている。
●このような、子供、宝物の子供を大切にしないで、どうするのか。
■1年生のランドセル