『芸文稿』 第7号 発行

●『芸文稿』の第7号が発行された。これまで、『文学研究』を受けてという意味もあって、4月1日に発行してきたが、この号から、6月発行に変更した。12月発行の『近世初期文芸』との関連もあってのことである。私は、実質のところ『文学研究』と合わせると、3つの雑誌を編集してきた事になる。『文学研究』は、すでに終刊としたが、よる年波にはかてず、残りの2つもそろそろ終刊になるかと思われる。さて、第7号は、次の内容である。
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『芸文稿』第7号 目次  (平成26年6月1日発行)
森鴎外伊沢蘭軒』および『ペリカン』と〈舞姫事件 ――山陽と霞亭の記述の背景を探り、『ペリカン』訳出の謎を解明する――〉
…………… 小平 克

                           
○謾考 近衛前久詠・紹巴の連歌幅・幸若歌謡と徳元など…………… 安藤 武彦
                  
○安藤 武彦 想い出づるまゝに 斎藤徳元句「かの事や」ノオト…… 安藤 武彦  
                                    
○『源氏物語』鑑賞 (その七)………………………………………… 田中  宏 
               
○『紫式部日記』鑑賞 (その五)……………………………………… 田中  宏                      
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○『異本翁草』(京都大学附属図書館蔵)翻刻(四)………………… 松本 節子    
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○野間道場あれこれ(その五)…………………………………………… 田中  宏

○〈新刊紹介〉 安藤武彦著『芸文集 光芒』………………………… 深沢 秋男

仮名草子研究の思い出(昭和女子大学最終講義)…………………… 深沢 秋男
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●小平克氏の森鴎外論は、76頁の労作である。私は、大学生の頃、漱石、鴎外、藤村などを好んで読んだ。森鴎外歴史小説は殊に好きだった。小品ながら『かのように』は主人公の卒論への取り組む姿勢に感心した。私などとは格段の違いであった。
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 秀麿は学習院から文科大学に這入って、歴史科で立派に卒業した。卒業論文には、国史は自分が畢生(ひっせい)の事業として研究する積りでいるのだから、苛(いやし)くも筆を著(つ)けたくないと云って、古代印度(インド)史の中から、「迦膩色迦王(かにしかおう)と仏典結集(ぶってんけつじゅう)」と云う題を選んだ。
青空文庫 より】
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●今回の、小平氏の論文を拝読して、作品理解への探究姿勢に圧倒された。また、松本氏の京大本『異本翁草』の翻刻紹介は誠に貴重な資料の紹介であり、誌面を充実することが出来た。安藤氏は初期俳諧探究の志が旺盛で、今回も新資料の紹介を通して当時の俳諧の状況に迫っておられる。また、氏は、『芸文集 光芒』を発刊された。この執筆活動に敬意を表する。田中氏の『源氏物語』鑑賞は7回目になる。私は、大学1年の時、『源語』は読破しているが、田中氏のお説を拝読して、私の読みは、まだまだ、だと思う。
■『芸文稿』 第7号