再び 浅井了意の 『伽婢子』

●今年の年始は東京堂出版の『仮名草子集成』第51巻の校正に追われた。花田富二夫氏が発見された、江戸版の『伽婢子』が収録される。ホノルル美術館所蔵リチャード・レイン旧蔵・江戸板『伽婢子』であり、天下1本の貴重なテキストである。間もなく発行されるだろう。
●全13巻、247丁、65話の説話を収める。中国小説の翻案であるが、さすが仮名草子の代表的作者・浅井了意の作品だけに、見事な文章力である。異界の美女と契る話もあり、近世怪異小説の祖といわれる所以である。
●ところで、このところ、私は、またまた、了意の『伽婢子』の校正をしている。研究生活の中には、こんな巡り合わせもあるのだろう。岩田書院『浅井了意全集』に収録されるためである。これは、寛文6年に西村太兵衛発行の上方版である。
●ところで、この了意の作品は、これまで、何度も翻刻されてきた。深沢秋男・菊池眞一共編『仮名草子研究文献目録』(2004年12月、和泉書院発行)によれば、この作品は、すでに、7回翻刻されている。これに、『仮名草子集成』と『浅井了意全集』が追加される訳である。恵まれた作品と言えるのであろうか。
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伽婢子(御伽婢子)
1近世文芸叢書・3・小説・1 饗庭篁村緒言 早川純三郎編 神戸龍治・文伝正 興校 明治43年
2近代日本文学大系・13・怪異小説集 笹川種郎解題 昭和2年。
3日本名著全集・10・怪談名作集 山口剛解説 昭和2年。
4(抄訳)教育社新書・原本現代訳・59 江本裕訳 昭和55年。
仮名草子集成・7 朝倉治彦編 昭和61年。
東洋文庫・四七五・伽婢子・1(巻1〜巻8) 江本裕校訂解説 昭和62年。
東洋文庫・四八〇・伽婢子・2(巻9〜巻13) 江本裕校訂解説 昭和63年。
新日本古典文学大系75 松田修・渡辺守邦・花田富二夫校注 平成13年。
    『仮名草子研究文献目録』より
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■『仮名草子研究文献目録