江戸版 『伽婢子』

●この年末年始は、『仮名草子集成』第51巻のサブ校正に追われた。この年になると古典の校正も大変である。しかも底本の判読が大変である。紙焼複写では十分に判断出来ない。CD−Rのデータをパソコンで拡大して確認する。便利な世の中になったのはいいが、老人にはキツイ仕事である。
●第51巻には、花田氏が発見された、江戸版の『伽婢子』が収録される。この原本に関しては、花田氏の「ホノルル美術館所蔵リチャード・レイン旧蔵 江戸板『伽婢子』に関して」(『雅俗』12号、2013年7月)に詳細が発表されている。仮名草子研究の立場から考えて、貴重なテキストの公刊に感謝している。
●全13巻、247丁、65話の説話を収める。中国小説の翻案であるが、さすが仮名草子の代表的作者・浅井了意の作品だけに、見事な文章力である。異界の美女と契る話もあり、近世怪異小説の祖といわれる所以である。花田氏の労苦に謝意を表する。
近世初期文芸 「仮名草子集成

■「仮名草子集成

■江戸版 『伽婢子』巻13 表紙

■江戸版 『伽婢子』 刊記