最終講義

●今、次の雑誌に掲載する原稿を執筆している。大学最後の頃の思い出話をまとめておこうと思いたった。平成17年 (2005) に昭和女子大を定年退職したが、その時、大学の研究室のHPのデータをコピーして、自分のHPに保存した。みんな菊池先生の協力を頂いた。本年度も、来年3月で大学を退職される方々も多いと思う。当時の大学のHPの「日録」に、こんな書き込みがあった。
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■2005/02/10 (木) 最終講義

●この季節になると、いずこの大学も、今年度で定年退職する教員の最終講義の案内で賑わう。中にはノーベル賞候補のような世界的な研究者もいるし、そうでない、地方の大学の、全く存じ上げない方もいる。分野も、自然科学、環境、社会、歴史、哲学、文学等々、様々である。しかし、その人が生涯をかけて研究してきた事に関してのお話である事はほぼ共通しているようだ。
●かつて『最終講義』なる本で、矢内原忠雄大内兵衛石田英一郎桑原武夫中村元等々の最終講義を読んだ事がある。一人の人間の足跡として、スゴイなと感動したものである。
●本学でも、長谷川強先生の、確か京都の歴史地理と文学というお話や、岡村浩先生の皮革に関するお話を伺った事がある。いずれも、長い御研究の蓄積が感動を呼んだ。
●本学・日本文学研究会は、私の定年退職に際して、例会でお話する機会をつくってくれた。有難い事である。タイトルは「仮名草子研究の思い出」であるが、あいにく、当日、同時間に教授会が急に入り、聴講者は少人数になる模様。何か、私にふさわしいようにも思い、すがすがしい気分でもある。(深沢)

■2005/02/17 (木) 最終講義終了

●私のマンダンのような、昭和女子大学で最後のお話が終わりました。昨日はあいにくの雨、さらに緊急教授会とも重なり、話を聞いてくれるのは、助手さん位かと予想していたが、運営委員の先生の御配慮で、時間を少しずらしたため、多くの方々が出席して下さった。現役の日文・人文の先生方、図書館の方々、それに院生も掛け付けてくれた。
●さらに驚いたのは、私が昭和にお世話になった時の学科長、教務委員、元図書館長の諸先生、皆さん現在は名誉教授になられているが、これらの皆様が雨の中、お出で下さった。全体では、40名前後はおられたのかと思う。何と幸せな事か。感謝、感激である。
●40年間に亙る仮名草子研究の思い出ばなしであったが、このように、錚々たる先生方の前で、取りとめも無い事をお話ししていて、我が身の小ささを、否という程、思い知らされた。これが客観化であり、現実である。余生は多くはないが、反省すべき点は反省して、今後に努める以外に方法は無いだろう。それにしても、有難いイベントではあった。(深沢)
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●ただ、目の前のことを、思いつくままに書き込んでいるが、10年後に読むと、結構参考になることもある。天理大学の金子先生から、私は「記録王」の称号を授与された。鹿島則孝もよくメモしていたが、私と同様な性格だったのかも知れない。
■「深沢秋男研究室」

■『最終講義』1997年、実業之日本社発行