如儡子編著 『堪忍記』 の活用

●本日、東北大学の『東北アジア研究』第16巻、2012年2月20日発行に、蝦名裕一氏の論文「「大名評判記」における仙台藩伊達家の記述について」のあることを知った。27頁の力作である。蝦名氏の論文の目次は、次の通り。

 1、はじめに―「大名評判記」とは―
 2、「大名評判記」における仙台藩の記述
 3、「大名評判記」における「明君」像とその受容について
 4、おわりに 

●2、の中で「「大名評判記」に先行して成立した『堪忍記』をみておきたい。」として、如儡子の『堪忍記』の記述を検討している。如儡子は、仙台藩に関して、「新参者不望。下々ノ下也。」と評価している。下々の下、とは厳しい。このような批評が許されたのであろうか。
●一浪人の手になる『堪忍記』は、ベースになる各大名の資料は、何らかの手段で手に入れて、それに、浪人の立場から、藩主を評価している。私が、この書を研究した頃は、金井円氏の研究があったが、他には余り研究されていなかった。その後、若尾政希氏など、歴史関係の方々も研究されはじめ、この分野も次第に実体が解明されてきている。いずれは、私も、如儡子・斎藤親盛の手を経た『堪忍記』について、再検討したいと考えている。

■蝦名裕一氏 「「大名評判記」における仙台藩伊達家の記述について」

■松平文庫蔵 『堪忍記』
 拙稿「如儡子の『堪忍記』(1)――松平文庫本の翻刻と解題――」
 平成元年(1989)10月 『近世初期文芸』第6号