新博士号

●今日の朝日新聞は、博士号取得者の4割が就職難であると伝えている。平成に入って、新しい制度で博士号の授与基準を変更して、従来よりも取得しやすくした。結果として、博士号取得者が増えて、就職難になった。加えて、大学も入学者数が激減して、教員の採用数が減った。そのような状況の中で、博士号取得者の就職が困難になったのである。
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 この春に博士課程を修了した大学院生のうち、非正規雇用の身分で働くなど安定した職に就いていない人が40・1%(前年比1・6ポイント増)に上った。文部科学省が7日に発表した学校基本調査(速報値)でわかった。高学歴の博士たちが、就職難に苦しんでいる。
 博士課程を終えた大学院生1万6440人のうち、就職者は5月1日時点で1万829人。就職率は65・9%(同1・4ポイント減)で、3年ぶりに下がった。
 進路のうち、雇用期間が限られる「非正規雇用」、勤務時間の短い「一時的な仕事」、「進学も就職もしていない」の3項目は「安定した職に就いていない人」と位置づけられ、計6599人で全体の4割を超えた。学部卒の20・7%(同2・2ポイント減)、修士課程修了者の17・3%(同0・4ポイント減)に比べ、突出している。
 博士課程に進む学生は、20年間で2・5倍に膨らんだ。国が1991年度から「研究や産業技術の高度化に伴い、企業や研究機関で需要が急増する」とみて、「10年間で2倍程度」を目標に大学院生を増やす政策をとったことが背景にある。しかし、主な就職先である大学の採用枠はそれに見合うほど増えなかった。民間企業も採用に消極的とされる。
 そのため、「ポストドクター(ポスドク)」と呼ばれる任期付きの身分で研究を続ける人も増えた。今回の調査でも、非正規雇用の40%がポスドクだった。(岡雄一郎)
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●私の知人でも、博士号を取得して、幾つかの大学の非常勤講師をして、専任講師の採用を期待している方々が、何人もいる。今日の新聞にも、3つの大学で非常勤講師を勤めても、月収9万円というケースが紹介されている。
●この、博士号に関する制度改革は、私が国文科の学科長の頃に実施された。博士号を取得しやすい外国の基準に合せたものであると思うが、この転換期には、かなりの混乱があった。現在の、博士号取得者の就職難は、予測されていたことである。大学院博士課程を出て、一生、非常勤講師で過ごす人生など、許されることでは無いだろう。教育行政も、真剣に取り組む必要がある。
朝日新聞 8月8日