奈良大学博物館 企画展 「板木さまざま 芭蕉・蕪村・秋成・一茶も勢ぞろい」

奈良大学博物館の企画展「板木さまざま 芭蕉・蕪村・秋成・一茶も勢ぞろい」が、2013年6月24日(月)〜9月7日(土)の間、同大学博物館で開催されている。この企画展の図録を拝見したが、近世出版史から見ても、画期的な内容である。「板木(はんぎ)」がこれほど保存されていて、私達の目の前に出てくるとは、私などには予想もできないことだった。
奈良大学教授の永井一彰氏は、近世俳諧の研究が専攻であり、『月並発句合の研研究』(2013年5月20日、笠間書院発行)の近著もあるが、平成6年(1994)の頃、京都の古書店から大量の浮世絵覆刻版、500枚ほどを大学で一括購入したのがきっかけで、板木の研究にも着手された。その後、平成9年には、書籍の板木1100枚が発見され、最終的に、奈良大学で収蔵した板木は5000枚に及ぶという。永井氏は、これらの板木を徹底的に調査・研究されてきた。このように大量の板木が発見されたのも、さすがに京都だと痛感し、それを学問として定着された永井氏の研究に敬意を表する。
●また、平成15年には、京都の佛光寺から3000枚をこえる板木が発見され、何と、この中に、仮名草子『因果物語』の板木全冊揃いで含まれていたのである。永井氏は、この板木の研究もまとめられ、平成17年には、全冊複製として出版して下さった。仮名草子研究者としても感謝している。
●この度の、企画展「板木さまざま 芭蕉・蕪村・秋成・一茶も勢ぞろい」は、実に見事な内容で、近世出版のベースになった板木が、これほど大量に、一堂に会して展示されるということは、近世出版文化史的にも、意義は大きい。
★詳細 → http://www.ksskbg.com/kanabun/news2.html

奈良大学博物館 企画展 「板木さまざま 芭蕉・蕪村・秋成・一茶も勢ぞろい」

■寛政版『おくのほそ道』刊木 板木

文楽人形版画 『八重垣姫』
 摺上がり と主板(墨)