『近藤忠義 人と学問 第五集』発行

●『近藤忠義 人と学問 第五集 近藤忠義が遺したもの』が発行された(近藤忠義先生を偲ぶ会・歴史社会学派研究会 共編、2013年6月20日発行、非売品)。近藤忠義先生は、後世に何を遺したのであろうか。私も、法政大学では、先生に近世文学を教えて頂いた。60年安保の頃、こういう状況の時に、若い君たちが、このように教室に居ることが、私には理解できない、とも言われて恥ずかしい思いをしたこともあった。
●第五集には、第一部に、前田金五郎先生はじめ4名の先生方の、近藤忠義先生の思い出を収録している。第二部には、東大入学前に執筆された短編小説『あまのじゃこ』と、晩年に執筆された、『こどもの古典』の解説を収録している。古事記更級日記西鶴・膝栗毛・八犬伝をこども向けにやさしく書いた読み物の解説である。日本の古典の尊さを、小さなこどもの心に伝えたかったのかも知れない。
●私は、卒論で、重友毅先生に御指導頂いたので、自然に近藤先生とは疎遠になった。近藤先生が、旧制の第6高等学校卒業直前に短篇小説を執筆されていたように、重友先生も、谷川徹三先生等と共に『文芸復興』という雑誌を出し、その創刊の辞を書かれている。また、創作雑誌『鈴の音』に戯曲『理性は強かれ』を発表されている。近藤先生も重友先生も、古典研究と共に創作活動にも興味を示しておられたのであろう。しかし、お二人の晩年は、誠に対照的である。
●御多忙の中で、この記念の集を纏め上げた島本昌一氏の、師と学問を思う志に対して深甚の敬意を捧げる。

★本書の詳細→http://www.ksskbg.com/sonota/shin.htm

■『近藤忠義 人と学問 第五集 近藤忠義が遺したもの』