論文の査読

●短歌雑誌『あかね』の編集兼発行者を、29年間に亙ってつとめられた若宮貞次先生は、この3月に発行された、第29巻第2号をもって、その任から退かれた。29年間、同人の方々の作品に全て目を通し、必要ならば添削もされ、目指す歌の道に精進してこられた。次号の第29巻第3号からは、自選であるから、誌友、一人一人が、御自分の責任によって、よしとする歌を寄稿する。これは、ある意味では、自由が得られたことではあるが、反面、全ての責任は、その歌人が負うことになる。一層、厳しい歌の修業とも言える。

●私が最初に発表した論文は、昭和39年発行の『文学研究』第19号掲載の「『可笑記』と儒教思想」である。これは、指導教授の重友毅先生に読んで頂き、添削して頂いた。以後、学術雑誌『文学研究』に掲載して頂いた論文は、全て重友先生の査読を受けている。昭和44年12月発行の『近世初期文芸』創刊号掲載の「『可笑記』の本文批評」150枚も、重友先生に読んで頂き添削をして頂いた。ただ、『文学研究』第28号掲載の「『可笑記』の諸本について」60枚は、重友先生の御了承を頂いて、天理大学の金子和正先生に査読をお願いした。
●昭和46年、「『可笑記評判』とその時代」の原稿の査読をお願い申し上げた時、重友先生は、「深沢クン、もういいでしょう。今後はキミの判断で書いて発表しなさい。」と申された。以後、私は、やっと一人立ちしたことになる。厳しい御指導を賜った重友先生にめぐり合った私は、幸せ者だと感謝している。

■最初の論文『文学研究』第19号掲載

■『近世初期文芸』創刊号掲載論文

■『文学研究』第33号掲載論文