与謝野晶子 直筆 短歌 103首 発見

朝日新聞の報道によると、岡山の倉敷市で発見されたという。倉敷市出身の薄田泣菫宛に送ったもので、B4の原稿用紙12枚。黒インクのペンで書かれ、1枚に10首程度書かれているという。調査したのは、就実短大准教授・加藤美奈子氏。薄田泣菫は大正期に大阪毎日新聞で編集者を務めており、加藤氏によると、ルビが振られていることなどから新聞掲載用とみられ、87首は新聞や全集に載っていたが、残る16首は新聞などへの掲載が確認できなかったという。
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 ◆未発表とされる短歌の一部

 髪(かみ)よりも静(しづ)かなるなし夕(ゆふ)ぐれの山(やま)の色(いろ)よりみづうみよりも

 (髪よりも静かなものはない。夕暮れの山の色や湖よりも静かだ)

 街(まち)行(ゆ)けば涙(なみだ)ぐまるるおもひでの必(かなら)ずわきぬまづしきがため

 (街を行くと、貧しさのために自然と涙ぐまれるような思い出が必ず心に浮かんでくる)

 心(こころ)をばお伽(とぎ)ばなしの悪党(あくたう)も思(おも)ひよらざる洞(ほら)に投(な)げうつ

 (おとぎ話に出てくる悪党が思いも寄らないような洞穴に私の心をなげうっておく)
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●すごい発見である。私は、大学1年の時、『源氏物語』を池田亀鑑の日本古典全書で読んだが、原典を読む前に、与謝野晶子の現代語訳を読んで、この作家の尋常ではない文才に感激した。また、昭和女子大学の文化祭の時、日本文学科の展示室で、与謝野晶子が、自分の歌を吟じる録音を聞き、その歌と声の凄さに立ち竦んだことがある。

●私は、幕末の旗本の主婦、井関隆子の日記を研究していて、研究発表の席上で、隆子は、1日100首、連続10日間で1000首にして、尊敬する賀茂真淵の県居神社(静岡県浜松市)に奉納した、と申し上げたら、重友毅先生は、深沢クン、歌は数ではないよ、と注意された。

朝日新聞 1月10日