本の断裁処分

岩田書院の岩田氏の「新刊ニュースの裏だより」は、実に興味深い内容である。先日送られてきた、NO.785は、出版した本の在庫本の処分に関して述べている。次々に出版される本であるが、岩田書院のような学術書の場合、全部売り切れるという事は少ない。そこで、岩田氏は在庫本の断裁処理を検討したという。このレポートの中で、岩田書院は、毎月末の在庫数をウェブ上で公開している、と書いている。在庫僅少、とか、品切れ、などと公表している出版社はあるが、在庫数を公表している会社は、他に無いだろう。

●早速、岩田書院のHPを見たら、出ていました。2012年12月のデータでは、総点数=1606点、在庫数合計=165207冊である。大変な量である。岩田書院では、第3倉庫まで借りて保管しているとの事、保管料だけでも大変な経費がかかる。私は、『浅井了意全集』でお世話になっているので気になってチエックしてみた。

○「仮名草子編 1」 235部  定価15000円  3525000円
○「仮名草子編 2」 183部  定価15000円  2745000円
○「仮名草子編 3」 188部  定価18800円  3534400円
○「仏書編 1」   271部  定価18800円  5094800円
○「仏書編 2」   302部  定価18800円  5677600円
○「仏書編 3」   211部  定価18800円  3966800円
                   総合計金額  24543600円

●『浅井了意全集』既刊6冊だけでも、これだけの在庫があり、2450万円の在庫があることになる。この数字を見ると、出版という企業の特色に関して、様々なことを思わざるを得ない。

●もちろん、現在の在庫数だけで、その本の売れ行きを云々することは出来ない。発行部数との関係があるからである。だから、出版社は、全集などの場合、第1回配本の売れ行き状況をみて、第2回配本の発行部数を決める。この『浅井了意全集』の場合、第1巻の在庫数が多い。あるいは、第2回配本から発行部数を少なくしたのかも知れない。また、仏書編の在庫が多い。仮名草子編は翻刻であり、仏書編は写真複製である。いろいろの要素が関係して、このような結果になっているのだろう。

岩田書院のHP

■2012年12月末、在庫数