『近世初期文芸』 第29号 責了

●本日、『近世初期文芸』第29号の責了を、稲栄社印刷に送った。後は、吉田会長さんの御配慮で印刷・製本・発行を待つのみである。この号も、安藤武彦氏・位田絵美氏・田中宏氏の力作を掲載できた。有難いことと感謝している。

●この『近世初期文芸』を創刊したのは、昭和44年であるから、今から43年前になる。近世初期俳諧を研究していた、島本昌一氏と私の二人で、お茶の水の喫茶店で、この「近世初期文芸」の誌名を決めた。研究会の創立1年後のことである。近世初期の文芸に光を当てようという意図のもとに発足した。前号の第28号までに掲載された論文、資料紹介などは、140点になる。所期の目的は、ほぼ達しつつある、と私は思っている。

●この雑誌は、創刊当初、「近世初期」と時期を限定するのは小さい考えである、という大家の批判もあったが、私は、びくともしなかった。近世初期は、それほど魅力に満ちていて、日本の文芸史からみても、それだけの主張をするに十分だと考えていたからである。日本の歴史上でも、近世初期は大啓蒙期で注目すべき時期である。そこに、私は関心をもった。

●創刊当初からの、島本氏は、事情があって、途中で分かれて、別に『近世文学研究』という雑誌を創刊された。この雑誌は判型も小さくなって、昨年、第3号まで発行された。島本氏は、近世初期から飛び出して、近世全般に視野を広げられた。しかし、研究する姿勢は同じである。お互いに情熱の尽きるまで、頑張りたい。

■『近世初期文芸』第29号