ライフワーク

●私は、今、大学の卒業論文で選んだ仮名草子作者、如儡子・斎藤親盛の研究をまとめようとしている。言ってみれば、ライフワークとも言うべき主題のまとめである。この老齢になって、いかにも遅すぎる。いろいろ、言い訳はあろうが、遅すぎることに変わりはない。

●恩師、重友毅先生は、『重友毅著作集』全5巻を遺された。長澤規矩也先生は『長澤規矩也著作集』全8巻を、小田切秀雄先生は『小田切秀雄全集』全19巻を、それぞれ遺しておられる。重友先生は、25冊の著書があるが、その中から重要な論考を厳選して、5冊にまとめられた。長澤先生も、出版された著書・編著は膨大な冊数になると思われるが、主要な論考を選んで8冊にされた。小田切先生は全集であり、近代評論も含まれるので、19冊と大部になった。しかし、どの先生も、その分野で、大きな遺産を遺された。

●私は、たった1冊の研究書をまとめるのに、四苦八苦している。井関隆子や鈴木重嶺や他の仮名草子などに、うつつをぬかして、ウロウロしていたツケが、今、襲い掛かっているようでもある。人間は、それぞれに、能力にも落差があって、生き方の違いもあって、結果が出るのだろう。致し方のないものだと思う。

■『重友毅著作集』全5巻

■『長澤規矩也著作集』全8巻

■『小田切秀雄全集』全19巻