『井関隆子日記』の古書価

●『井関隆子日記』は、昭和53年〜昭和56年に、全3冊として、勉誠社から出版された。定価は各4500円、計13500円。30年前のことである。しかし、売れなかった。在庫の山となった。私は、勉誠社の社長さんの御厚意で、特別安価にしてもらって、昭和女子大学日記文学の講読のテキストに使用した。全三冊、13500円ではテキストとしては高すぎる。この定価で市販していたので、履修者のみに特別価格で提供した。学生は、分割払いで、私が集金して勉誠社へ振り込んだ。

●学生には、出来るだけ、本には書き込みをせず、ノートを採るように指導した。単位取得後、神田の古書店に売るように勧めた。三茶の近所では売らないように注意した。学生は、私との約束を守り、三宿の三茶書房には1度も出なかった。ただ、面白かったのは、地下鉄三軒茶屋駅近くの、地下にある喫茶店の本棚に、上中下3冊揃いで並んでいたことがあった。たぶん、学生が単位をもらった後で、ケーキセットか何かと交換したのだろう。マスターに確認はしなかった。

●30年経って、在庫切れとなり、絶版で再版の可能性も無くなり、古書価は上昇した。アマゾンのネットでは、上中下3冊で21万円となっているが、これは異常。神田の古書店では35000円位である。それも、なかなか品物が無い。

●過日、五十嵐書店で35000円位で出ていた。今日、検索したら、小宮山書店のHPに写真が出ていたが、既に売り切れだった。30年前に私の教え子は、古書店で幾らで買ってもらえたのだろうか。現在も、自分の本箱にある人は、今、古書店に売ったら、幾らで買ってもらえるのだろうか。是非、古書店へ売ってもらいたい。

■小宮山書店のHPの写真