研鑽する友人

●友人の田中宏氏の古典研究への情熱には、頭が下がる。現役を退き、一介の老人となったならば、その余生をいかに過ごすかは、それは、その人の人生観によるものであり、ハタから、とやかく言うべきことではない。ただ、学生時代からの友の生き方であるとなると、そう無関心ではいられない。

●『近世初期文芸』第28号、平成23年12月発行
 ○『恨の介』と『竹斎』(その二―承前②)  14頁
 ○宮本武蔵五輪書』(その二)       13頁
●『芸文稿』第5号、平成24年4月発行
 ○『源氏物語』鑑賞(その五)        19頁
 ○『紫式部日記』鑑賞(その三)       14頁
 ○野間道場あれこれ(その三)        14頁

●昨年、田中氏が発表された論文等である。仮名草子の論文も凄い。彼の卒業論文仮名草子の『竹斎』論であった。『芸文稿』創刊と同時に、『源氏物語』鑑賞を発表し始めた。私は、『源氏物語』は日本文学の『資本論』だと位置づけ、大学1年の時、朝日古典で読破した。田中氏は、現役引退と同時に『源氏物語』に真正面から向き合った。田中氏は、講談社の野間道場で剣道の修練に励み、実力は8段以上の腕前である。その彼が、剣聖・宮本武蔵の名著『五輪書』の深奥に迫った。『日本古典への誘い』(2006年9月9日、東京書籍発行)の『五輪書』の項目は田中氏の執筆である。

田中宏氏も、私と同様に、法政で、重友毅先生の御指導を受けた。2人、力を合わせて、仮名草子研究を進めなさい。2人が大学時代から、今日まで、恩師のお言葉に従って、仮名草子研究を継続してきて、よかった、今、つくづく、そう思う。

■『近世初期文芸』第28号
 
■『芸文稿』第5号