皆 我が師

●清水邦一氏から、貴重な御本を頂いた。『松岡榮志教授還暦記念論集 中國學藝聚華』と言う書名。松岡榮志教授が還暦を迎えられ、先生にお教えを頂いている25人の研究者が、恩師の還暦を祝福して、最大限の力を振り絞って論文を書き、この論文集を出版したものである。目次を拝見すると、国文学の私には、むつかしく、猫に小判のようではあるが、中国と日本に関連する論文集であり、いずれも、触発されるところがある。

●実は、清水氏は、中国文学の研究者であるが、剣道の道にも励んでいる。講談社の野間道場の常連であり、私の友人の田中宏氏と、殆ど毎日、剣道の修業で顔を合わせておられる。そんな関係で、田中氏を介して、この度の御著書を頂いた。田中氏とは学生時代からの友、清水氏とは桜山文庫に関連して知り合った。それが、野間道場の剣道を通じて、さらに深い関係になった。不思議な廻り合わせである。

●清水氏の御論文「『瀛奎律髓』の版本について(一)」を拝読して、その学問的情熱と底知れぬ労力の大きさに、敬服の念が湧いてくる。清水氏とは長いお付き合いであるが、『瀛奎律髓』の研究会の機関誌を頂くたびに、その注釈の精緻な取り組み、中国文化への、篤い姿勢に心打たれてきた。この度の、版本書誌の調査結果を拝見しても、頭がさがる。清水氏の、この中国古典を解明したいという情熱を、陰に陽に導いて下さったのは、松岡先生はじめ、多くの先学・同学だったと推測する。「皆我師」という方形朱印に、氏の研究姿勢を思い、敬意を表する。春秋に富む氏の、さらなる研鑽を願ってやまない。

★本書の詳細 → http://www.ksskbg.com/sonota/shin.htm

■『松岡榮志教授還暦記念論集 中國學藝聚華』

■「皆我師」の朱印