1行の重み 書誌図書関係文献

昭和女子大学中西裕先生の「最近の書誌図書関係文献 日本人名編」第53回が6月に更新された。その中に、「如儡子 諸本書誌 深沢秋男 『如儡子百人一首注釈の研究』 和泉書院 2012.03 p29−43」と1行収録して下さった。値千金の1行である。この1行は、やがて、中西先生の年刊の『書誌目録』に採録され、単行本として発行され、図書館の書誌コーナーに配備され、半永久的に後世へ伝えられるだろう。これが人間の知恵であり、文化の蓄積である。

●私は、中西先生のこの地味なお仕事を、時々チェックして、その1行に触発されている。今回も、柄谷行人、北村透谷、滝沢馬琴に、関心をもった。現役ならば、すぐ、図書館でその資料を見ているだろう。文献目録とは、そういうもので、読者の興味を増幅させる効果がある。そして、読者は、その1行から文化の海へ泳ぎ出すのである。文献目録の意義がここにある。

■「最近の書誌図書関係文献 日本人名編」