高杉志緒著『日本に引揚げた人々』

●高杉志緒氏著『日本に引揚げた人々』(平成23年12月24日、図書出版のぶ工房発行、定価1800円+税)が発行された。
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 博多港には、一般邦人・軍人・軍属、併せて約139万人の引揚者が上陸したと聞きますから、恐らく139万通りの引揚体験があることでしょう。本書は、「辛い体験はもう思い出したくない」と多く辞退される中に、聞き書きに応じて下さった方々の貴重な記録であると思います。  (金子和正氏の巻頭言 より)
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●高杉志緒氏の地道な研究の成果として、貴重な記録が、文字として、文章として、ここに定着された。歴史の真相は概説ではなく、具体的な1つの言葉、行動によって、はじめて、後世へ伝承されるだろう。私は、この本を手に取り、目次を見て、1章、2章、と読み進めて、第二次世界大戦終結後の1コマを知ることが出来た。もちろん、概略は知っていたし、いくつかの具体例も知っていた。しかし、その時、まさに、その時代とともに生きた方々の言葉、生きた航跡は、さらに、歴史の真実を教えてくれる。

●私は、天理図書館で、金子和正先生に、多大な御指導を賜った。先生は、上海でお生まれになり、昭和21年4月、17歳で日本に帰られたという。米軍の上陸用舟艇・LSTの船底に押し込められて、博多港に着いた。
その時の印象を先生は、次のように記しておられる。

「四月六日、午後二時ごろ博多港に着岸。それまでは海の色など見る余裕も無かったのですが、改めて海を見たときは驚きました。青く澄み切っているのです。上海の揚子江、黄浦江の褐色に濁った流れしか知らない私は、海の色に驚き、その美しく青い海をデッキの上から飽きずに眺めたことでした。」

●1人の青年に、日本の海の色は、このように映ったのである。それから、先生は、古典籍の研究を続けられ、多くの業績を残され、私たちを御指導下さった。

★本書の詳細 → http://www.ksskbg.com/sonota/shin.htm

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■高杉志緒氏著『日本に引揚げた人々』