懐かしい書簡

●今日も、重友先生のお手紙をさがす為に、天井裏の物置を整理した。先生の書簡、葉書は大量に保管されていたが、同時に、中学時代の若林さだ子先生のお手紙が出てきた。

「・・・秋男君とは一別以来一度も会っていないので、中学一年生の、あの無邪気な可愛い姿しか思い出せません。原小二階の東側の教室でしたね。
音声が美しい、話しことばが人一倍快く響いたこと、素直な中にも筋を通して、友達の言動に反撥した面影が印象に残っています。そして、いつもニコヤカに人と接したやさしい秋男君のお母さんの姿がなつかしい思い出です。・・・」

●若林さだ子先生には、中学1年の時に担任として御指導頂いたが、大学1年の正月休み、東京で1人で勉強していた時に、先生から頂いた年賀状に、どんなに励まされたことか。中学時代の、優しく温かくお導き下さった事とともに、その学恩は何時までも忘れることは出来ない。

●もう1枚の葉書。これは、あの、大国語学者新村出先生からのものである。昭和37年12月23日付け、京都市北区からのもの。大学を出たばかりの私に、毛筆の見事な御返事を下さった。内容は「凡夫」の清濁二音に関する、私の質問に対するもので、大学者の謙虚な姿勢があふれている。新村先生は、明治20年の頃、墨東におられたことがあり、懐かしいと、朱筆で補筆して下さった。

●多くの先生に、導かれ、励まされて、勉学に励んできた。改めて感謝の念が湧き上がる。若林先生も新村先生も、今、黄泉の人。私もおっつけ、その世に行くが、お会いは出来るだろうか・・・。

■若林さだ子先生のお手紙。

新村出先生のお葉書。