追悼文と伝記の条件

●私は、これまで、何人かの伝記を書き、追悼の文も書いてきた。まだ未完のものもあるが、整理すると、伝記では、

① 鈴木重嶺(翠園) 平成16年4月 『文学研究』第92号
② 井関隆子 平成16年11月1日 単行本
③ 斎藤親盛(如儡子) 平成22年10月25日 単行本


追悼文では、次のものがある。 

① 石澤豊先生 昭和54年5月12日 『石澤豊追悼』(石澤豊追悼文集を発行  する会)
② 重友毅先生 昭和54年12月 『文学研究』第50号
③ 長澤規矩也先生 昭和56年7月 『書誌学』復刊 新28号
④ 鹿島則幸先生 平成6年12月 『近世初期文芸』第11号
⑤ 三浦邦夫先生 平成9年12月 『近世初期文芸』第14号
⑥ 飯田龍一先生 平成10年12月 『近世初期文芸』第15号
⑦ 川嶋 至先生 平成14年1月 『学苑』第738号
⑧ 吉田幸一先生 平成15年4月12日 『文庫 吉田幸一先生敬慕』(古典文
                     庫会員有志一同)
⑨ 田村寛三先生 平成23年12月 『近世初期文芸』第28号

●4月に発行される『芸文稿』第5号には、横山重先生の事を書いた。そして、現在、重友毅先生の事を執筆中である。これらは、追悼文でもなく、伝記でもない。ただ、結果的には、その人物の追悼にもなり、また、伝記の資料の一部にもなるものであろう。高齢になり、研究生活も終盤になると、このような文章も書きたくなるものである。

●他の方々が書かれた追悼文も読ませてもらっているが、中には、少々、疑問に思うものも目につく。追悼文であるから、その人が、もし御在世中であるなら、いやな思いをするような内容のことは書かない方がよいと思う。事実を歪曲する必要は無いが、死者への礼節は守るべきものと思う。

●私は、伝記作成を、軽々しく実行してはこなかった。その歴史上の人物が、伝記調査をして、記録して、後世に伝えるに値する人物か否か、そこに基準をおいてきた。

横山重先生の思い出 『芸文稿』第5号