編集者 の思い出

●私は、大学を卒業した時、北海道函館の高校へ就職する予定であった。しかし、卒業直前に針路変更して、大衆小説を出版していた、桃源社の編集部にお世話になった。源氏鶏太山手樹一郎・島田一男・水上勉江戸川乱歩柴田錬三郎・・・、錚々たる大衆小説の大先生の小説を出していた。私は、ここで、編集の実務を学んだ。編集という職業は、実に魅力的なものだった。本の校正・校閲も楽しく意義深い仕事であった。私は、日本エディタースクールで学んで実力を付けた。

●その後、長澤規矩也先生の推薦で、神田の誠文堂新光社の辞典部にお世話になった。ここでの編集責任者としての仕事も、実に魅力的であった。1冊の辞典の編集費1億円(40年前の事)である。そういう仕事である。人生意気に感じて打ち込んだ。2ヶ月も3ヶ月も、子供と言葉を交わす事もなく仕事に集中した。自分の仕上げる辞典を何10万、何100万という読者が活用してくれると思うと、寝食を忘れて取り組みたくなる。それがエディターの姿だと思う。

桃源社 編集部 の 送り仮名の一覧表
作家・作品ごとに、ある程度の統一をした。