電子図書館の発展

●昨日の朝日新聞では、木村尚貴氏が電子図書館青空文庫」を特集している。青空文庫富田倫生氏ら4人の方々が呼びかけて、15年前にスタートした。著作権の切れた日本の近代文学作品を中心にネット上に発信し、全て無料で閲覧出来るサイトである。従って、運営も、作品のデータ入力もボランティアで進めている。入力には、延べ800人の方々が参加してきたという。入力作品も現在、約1万点に達すると言う。素晴らしい、文化的活動である。

●この電子図書館の利用が、最近急増しているらしい。それは、ipadソニー・リーダーやキンドルなどのタブレットの普及が関係しているとのこと。1昨年だったと思うが、昭和女子大学の中西先生が、リーダー発売と同時に購入して、J−TEXTSや青空文庫の著作を取り込んで読む、と仰っていたが、まさにそのような利用者が増加して、電子図書館の利用が活発になっているのであろう。

菊池真一先生は、2000年5月13日に「J−TEXT 日本文学学術的電子図書館」を立ち上げた。10年前である。私も先生の趣旨に賛同して開設に参加した。データ入力には参加者を募集して、菊池先生と私が入力の費用を負担して、データを蓄積してきた。このサイトは現在「J−TEXTS 日本文学電子図書館」となって、データの入力は菊池先生が中心になり、荒山慶一氏の協力を得て進行している。私は、余り参加できず、アップ作品のチェックのみとなっている。

●このJ−TEXTSで、私は、自分の所蔵する江戸時代の版本を、複写して、アップしたが、アクセスが多すぎて、プロバイダーが悲鳴をあげて、中止したことがある。多分、データの量と、通信機能の関係で、現在ならクリアできただろうと思う。インターネットは、このような試行錯誤を繰り返して、より便利なものへと発展してゆくのだと思う。

●ネット上の電子図書館は、国会図書館京都大学図書館・早稲田大学図書館・大阪大学図書館・立命館大学図書館など、各図書館も積極的にデータを公開するようになってきている。この傾向は、今後、ますます、発展してゆくだろう。

朝日新聞 1月23日

■「J−TEXT 日本文学学術的電子図書館

■深沢秋男の版本 データ