センター試験/たるんだ体質―河北新報社説

「■センター試験/たるんだ体質謝罪で済まぬ■
 前身の共通1次試験から数えて、大学入試センター試験は導入から33年がたつ。約55万人の受験生が臨んだことしの試験で事務方のミスにより、過去最悪の混乱が起きた。
 今回は東日本大震災後、初の試験といういつもとは違う意味合いもあり、一層気を引き締めて事に当たらなければならなかったはずだ。
 ところが、被災した受験生向けに臨時で設けた気仙沼高(気仙沼市)の試験会場に、英語のリスニング試験で使うIC機器200人分が届いていないことが開始1時間前に分かり、不足分が仙台市から到着するまで受験生は2時間待たされた。
 会場を出られたのは夜の8時10分すぎ。体調を崩した高校生も出た。試験初日(14日)の最後にこんな迷惑を被っても受験生は「気を取り直して明日頑張ります」とけなげだったが、最も守られるべき公平性が失われたと言っていい失態だ。
 震災でJR在来線がいまも不通で、学校に寝泊まりしたり、バスで長時間かけて通ったりしていた生徒のことを思えば、こまやかな配慮があってしかるべきところを、厳寒の中を帰らせる結果を招いた。
 未到着の原因は、担当の東北大が東京から送られてきた機器を同大の会場分と気仙沼高分に仕分ける際に数を間違え、39人分しか届けていなかった。この無神経さ、緊張感の喪失、あきれるしかない。」

●これは今日の「河北新報」の社説である。仰る通りだと思う。私も現役時代、昭和女子大学で試験監督を何回か担当したが、当日に備えての説明会は、詳細を極め、全員がピリピリして、全てに神経を行き渡らせて、受験生に有利・不利の無いように、公平に対処してきた。従って、昭和女子大学でのミスは全く無かった、と私は理解している。

●ところで、今年の15日に実施された、国語の古典の問題には、江戸時代の随筆作者、只野真葛の『真葛がはら』から出題された。著者の真葛は、江戸日本橋に生れ、文政8年(1825)に63歳で没している。井関隆子よりも少し前の時代の女性で、優れた作品を遺している。この作品を採り上げた出題者に感謝する。

■国語の古典の問題。朝日新聞、1月15日より